トラック競技リザルト

女子500mタイムトライアル:

 女子の500mタイムトライアル決勝は、世界チャンピオンのAnna Meares(オーストラリア)が33秒952のタイムで金メダルを獲得した。このタイムは、中国のJiang Yong Huaが2年前に打ち立てた世界記録(標高の高い昆明で出した記録だそう)を0.048秒上回る新記録で、女子の500mTT(スタンディングスタート)で初めて34秒を切るタイムを叩き出した。恐るべし20歳だ。
 日本の大菅小百合は10位でのフィニッシュ。しかし、今回叩き出した35秒045というタイムは、自らの持つ35秒496という日本記録を塗り替えるもの。メダルに届かなかったのは残念だけど、記録更新はたいしたものです。
 KEIRIN アテネオリンピック特集に女子500TTのレポートが載ってます。  (8月20日更新)

順位名前タイム
1Anna Mearesオーストラリア33.952
2Yonghua Jiang中国34.112
3Natallia Tsylinskayaベラルーシ34.167
4Simona Krupeckaiteリトアニア34.317
5Yvonne Hijgenaarオランダ34.532
6Victoria Pendletonイギリス34.626
7Lori-Ann Muenzerカナダ34.628
8Nancy Contreras Reyesメキシコ34.783
9Svetlana Grankovskayaロシア34.797
10大菅小百合日本35.045

男子1kmタイムトライアル:

 男子の1kmタイムトライアルは、世界チャンピオンのクリス・ホイ(イギリス)が金メダルを獲得。ホイの1.00.711というタイムはオリンピックレコードだが、ホイ以前にケリー(オーストラリア)がまず出したレコードをニムケ(ドイツ)が塗り替え、Tournant(フランス)が塗り替え、そして最終走者のホイがさらに塗り替えるという、なかなか白熱した展開だった。
 なお、この競技に出場予定だった井上昌己は、腰の故障から無理をさせたくないというチームの意向で不参加を決定。チームスプリント1本に絞ることとなった。  (8月24日更新)

順位名前タイム
1Chris Hoyイギリス1.00.711
2Arnaud Tournantフランス1.00.896
3Stefan Nimkeドイツ1.01.186
4Shane Kellyオーストラリア1.01.224
5Theo Bosオランダ1.01.986
6Francois Pervisフランス1.02.328
7Craig Macleanイギリス1.02.369
8Carsten Bergemannドイツ1.02.551
9Ahmed Lopez Naranjoキューバ1.02.739
10Alois Kankovskyチェコ1.03.038

男子4km個人追い抜き:

 2名の選手がトラックのホーム側とバック側からスタートし、互いに追いかけながら走る。途中で追いついた場合には、追いついた選手が勝ち。追いつけなかった場合には、先にゴールした選手が勝ちとなる。
 予選では1人スタートせずに15名が走った…ら奇数の1人はどうするんだろう?(^^; ともあれ、タイムの上位の選手8名がラウンド1に進む。ラウンド1の勝者のタイムを比較し、上位2人が1位2位決定戦、残り2名が3位4位決定戦へと進むことになる。
 ラウンド1の結果、1位2位決定戦はブラッドリー・マクギー(オーストラリア)とブラッドリー・ウィギンス(イギリス)の2人のブラッドリーの戦いとなった。ウィギンスは去年までエフデジュにいた選手(現クレディアグリコル)。2人は去年までチームメイトだったわけだ。そんな2人の戦いの結果、勝ったのはウィギンズの方。前大会、同種目で銅メダルを獲得したマクギーは4秒差で銀メダルとなった。
 後で予選の映像をちょこっとだけ見たんだけど、予選の時はマクギーよりもスペインのEscobarの方が0.648秒速かったんだね。Escobarの4.16.862というタイムはオリンピック記録のウィギンズに続き2番目の記録だった。が、ラウンド1では勝ち抜きはしたものの、4.19.581という、勝者の中では4番目のタイム。結局3位4位決定戦でもイギリスのヘイルズに勝てず、メダルには届かずに終わってしまった。
 レースを離れればウィギンズとマクギーは仲良しさん。  (8月24日更新)

順位名前タイム
1Bradley Wigginsイギリス4.16.304
2Brad McGeeオーストラリア4.20.436
3Sergi Escobarスペイン4.17.947
4Rob Haylesイギリス4.22.291

男子チームスプリント:

 8月21日に行なわれた男子チームスプリントで日本チーム(長塚智広/伏見俊昭/井上昌己)が銀メダルを獲得した。

 チームスプリントは、1周250mのバンクを3周して争われるレースだ。3人が隊列を組んでスタートし、1周終えるごとに先頭を引く選手が抜け、3人目の選手がゴールするタイムで競われる。
 まず最初に行なわれる予選ラウンドで、出場12チーム中、上位8位に入るタイムを記録すれば事実上の準決勝にあたるラウンド1に進出することができる。そして、ラウンド1の勝者4チームのタイムを比較し、上位2チームが1位2位決定戦、残りの2チームが3位4位決定戦へと進むことになる。

 日本は予選ラウンドでキューバと対戦。ここでフランス、ドイツに次ぐ44秒355のタイムでラウンド1に進出した。

 ラウンド1で日本は2組目でオランダと対戦。44秒081という素晴らしいタイムを叩き出し、オランダを圧倒。1組目の勝者であるオーストラリアのタイムをすでに上回っていたために、3組目のドイツ×イギリスの勝者が日本よりいいタイムを出さなければ、この時点で銀メダル以上が確定となる。が、優勝候補のドイツが43秒955のタイムを出し、この時点での銀メダル以上獲得決定とはならなかった。実はドイツと戦ったイギリスが、44秒075と日本をわずかに上回るタイムを出している。ドイツとイギリスでつぶし合いをしてくれたことが日本にとって有利に働いたといえる。4組目のフランスとギリシャはフランスが勝利。気になるタイムは44秒128。日本はドイツとともに1位2位決定戦へと進出することになった。

 そして1位2位決定戦。第1走者の長塚のスタートダッシュが素晴らしかった。1周目は日本がリード。2周目でドイツにリードを許し、追い上げかなわず金メダルはドイツの手に。日本は銀メダルに終わった。しかし、自転車競技でのメダルは、ロサンゼルス大会(1984年)で坂本勉選手が男子スプリントで獲得した銅メダル、アトランタ大会(1996年)で十文字貴信選手が男子1000mタイムトライアル)で獲得した銅メダルに次いでこれが3つ目。過去最高の結果となった。
 忘れちゃいけない、3位4位決定戦。フランスとオーストラリアの戦いは、フランスが僅差を制して銅メダルを獲得。

 どうでもいい話。オリンピック公式サイトに井上選手の「銀メダルが獲れてとても嬉しい。日本の選手にとってすばらしい結果です」みたいなコメントが載ってたんだけども、「MASAKI (JPN)」「Inoue MASAKI (JPN)」って、おそらく苗字と名前が反対だ(他のチームでは「Jens FIEDLER (GER)」な感じ)。
 Yahoo!スポーツ×スポーツナビ アテネオリンピック特集に早速そのニュースが。<五輪自転車>日本、初の銀メダル チームスプリント写真ニュース アテネ五輪・競輪3選手、大舞台で快走写真ニュース アテネ五輪・喜ぶ日本チーム 1プロの底力、見せつけた銀=競輪3選手、大舞台で快走-自転車なんてなのが載ってました。
 また、KEIRIN アテネオリンピック特集に男子チームスプリントレポ、サイクルサポーターオフィシャルサイトにサイクルサポーター応援ツアー アテネ現地レポートが載ってます。
 「3、2、1、ハッスルハッスル さむっ」って(笑)。  (8月22日更新)

順位メンバータイム
1周目2周目ゴール
1ドイツJens Fiedler/Stefan Nimke/Rene Wolff17.70830.67343.980
2日本長塚智広/伏見俊昭/井上昌己17.61230.68944.246
3フランスMickael Bourgain/Laurent Gane/Arnaud Tournant17.72230.68844.359
4オーストラリアRyan Bayley/Sean Eadie/Shane Kelly18.04830.84044.404

女子3km個人追い抜き:

 女子の3km個人追い抜きは、ニュージーランドのSarah Ulmerが予選、ラウンド1、決勝とすべてトップタイムを叩き出し、他の選手に圧倒的な差をつけて金メダルを獲得した。1位2位決定戦では、前日の予選で自らが出した世界記録の3.26.400というタイムをさらに上回るタイムでMactierを打ち負かした。
 他方ロードの個人TTで金メダルを獲得したオランダのファンモールセルはこの種目でも金メダルを狙ったが、3位という結果に終わった。ファンモールセルは来年1月のロッテルダムの6日間のステージレースで引退を表明している。そしてこの個人追い抜きが引退レース前にプロとして走る最後のレースだった。シドニー大会での金メダルの再来とはならなかったが、堂々の銅メダル(いや、別に洒落を言ってるわけでは(^^;)だ。  (8月27日更新)

順位名前タイム
1000m1000-2000m2000-3000mゴール
1Sarah Ulmerニュージーランド1.11.6011.05.7641.07.1723.24.537
2Katie Mactierオーストラリア1.10.6181.07.7911.09.2413.27.650
3Leontien V.Moorselオランダ1.11.9841.07.1251.07.9283.27.037
4Katherine Batesオーストラリア1.12.4011.08.8011.10.5133.31.715

男子団体追い抜き:

 男子団体追い抜き(団抜き、と人はいう)は、前日のラウンド1で3分56秒610の世界新記録を打ち立てたオーストラリアが余裕の勝利を収めた。

 団体追い抜きについて簡単に説明するならば、距離は4kmで、1チーム4名の2チームがトラックのホーム側とバック側からスタートし、3番目の選手が相手のチームの3番目の選手に追いついたら、追い抜き勝ち。そうでなければ3番目の選手のゴールタイムが速いチームの勝利となる。
 予選では出場10チームが2チームずつ対戦し、タイム上位の8チームがラウンド1に勝ちあがる。ラウンド1の勝者のタイムを比較し、上位2チームが1位2位決定戦へ、残り2チームが3位4位決定戦へと進むことになる。

 2位のイギリスに3秒以上も差をつけてトップタイムで予選を勝ち上がったオーストラリアが、ラウンド1で前述の世界新記録を叩き出し、さっくり1位2位決定戦に進出。これまた2位のイギリスに3秒以上の差をつけての勝ち上がりだった。
 そしてオーストラリアは決勝戦でも素晴らしい走りを見せた。前日の記録には及ばなかったが、それでもそのゴールタイムはイギリスよりも3秒以上上回るものだった。
 オーストラリアチームのブラッドリー・マクギー、ブレット・ランカスター、グレム・ブラウン、ルーク・ロバーツ、ピーター・ドーソン、ステファン・ウールドリッジの6人のうち、決勝で走ったのはラウンド1と同じ、マクギー、ランカスター、ブラウン、ロバーツの4名だった。予選で頑張ったドーソン、ウールドリッジはメンバーに選ばれず、かなりショックを受けていたらしい。それでもこれは6人で勝ち取ったメダル。決勝戦に出場した4名だけではなく、残りの2名にも金メダルが授与されたそうだ。ドーソンとウールドリッジは複雑な気持ちだったらしいけど。
 ちなみに3度目のオリンピックで初の金メダルを獲得したマクギーの次の目標は、ヴェローナでの世界選手権のタイムトライアルとのこと。これまた楽しみです。

 3位4位決定戦では、スペインがドイツに勝利し、銅メダルを獲得した。ドイツは2km地点まではスペインのタイムを上回ってきたが、後半で失速。3km地点でほぼ並び、ゴール地点では1秒67の差をつけられてメダルを逃した。

 こちらは金メダルを獲得し、トラックにキスをするオーストラリア選手の写真。むっちゃ強いぞ、オーストラリア。  (9月2日更新)

順位メンバータイム
1km2km3km4km
1オーストラリアGraeme Brown/Brett Lancaster/Brad Mcgee/Luke Roberts1.03.1392.00.4692.58.8453.58.233
2イギリスSteve Cummings/Rob Hayles/Paul Manning/Bradley Wiggins1.04.0762.02.4183.01.4674.01.760
3スペインCarlos Castano/Sergi Escobar/Asier Maeztu/Carlos Torrent1.05.6972.05.0763.05.0044.05.523
4ドイツRobert Bartko/Guido Fulst/Christian Lademann
/Leif Lampater
1.04.5082.04.6093.05.5474.07.193

男子ポイントレース:

 男子ポイントレースは40km(250m×160周)で争われる。といっても4万メートルのゴールタイムを競うレースではなく10周ごとに設定されたスプリントポイントの通過順位で与えられるポイント(1位通過なら5点、以下、2位3点、3位2点、4位1点)と、逃げを決めてメイン集団に追いつけば20ポイント、メイン集団に追いつかれたら−20ポイント(20ポイント減点)というラップポイントの合計点で争われる競技だ。

 日本からは飯島誠選手が出場していたのだが、なにせ映像皆無。詳細なレポートすら見当たらず、細かな展開がわからにゃーい。とりあえずさっくりまとめます。

 この日はしょっぱなから誰彼かまわずラップを獲りに行くスピード展開だったそう。序盤はじっくり展開を読んで、ここぞという時にポイントを獲りに行こうという飯島選手の目論見は裏目に出てしまった。何度か仕掛けるもそのたびに潰され、最終的にはスプリントポイントで13ポイントを獲得(内訳は3番目、10番目、12番目、15番目のスプリントポイントを2位通過、14番目は1位通過)したものの、トップから4周遅れ、シドニー大会と同じ16位という結果に終わってしまった。4月に行なわれたワールドカップ第4戦で5位、5月の世界選手権で6位(しかもいずれも上位と僅差)という成績を残した飯島選手だけに残念な結果だ。本人は「代表に決まって以降、トレーニングは十分に積んできましたが、レースは一度も走る機会がなかった。実戦から離れ過ぎたこともこの結果の要因の一つだと思います。また出直しです」というコメントを出している。

 で、優勝したのはロシアのMikhail Ignatyev。集団をラップしてポイントを荒稼ぎし、集団からのアタックにはすべて反応するという自らの立てた戦略をそのまま実践し、4周アップの93ポイント(!)という成績で金メダルを獲得した。この獲得ポイント数がいかにすごいかというと、たとえばシドニー大会の同種目のリザルトを見てみると、金メダリストのJuan Llaneras(スペイン)の獲得ポイントは14ポイントですってば。それを考えるといかにしょっぱなからスピード展開、ラップ合戦だったのかが伺えるってもんです。ちなみにこのIgnatyevは19歳の若い選手だそうだ。
 で、そのディフェンディングチャンピオンのJuan Llanerasは3周アップの82ポイントで銀メダルを獲得。銅メダルは同じく3周アップ、79ポイントを獲得したグィド・フルスト(ドイツ)という結果となった。

 cyclingnews.comで拾った飯島選手の写真。これはスタート時の集団の写真。後ろから6〜7人目に飯島選手の姿がある。かと思えばこれとかこれはわざわざフォーカスしてくれてるみたいだ。

 それにしても、日本人選手の出ていない男女のスプリント(予選に出場した長塚選手は足に違和感があったとかでラウンド1を棄権)を生中継するより他にもっとやるべきことがあったんじゃないか?とちょっと思ってしまった。  (9月2日更新)

順位名前ポイント
1Mikhail Ignatyevロシア93pt
2Joan Llanerasスペイン82pt
3Guido Fulstドイツ79pt
4Greg Hendersonニュージーランド68pt
5Milan Kadlecチェコ65pt
6Mark Renshawオーストラリア60pt
7Peter Schepオランダ58pt
8Angelo Cicconeイタリア49pt
9Milton Wynantsウルグアイ46pt
10Franck Perqueフランス43pt
16飯島誠日本13pt

女子スプリント:

 女子スプリントではまず200メートルのタイムトライアルにより予選が行なわれる。出場者は12名。ここでは1/8決勝の組み合わせを決定するだけで、敗退する選手は出ない。
 1/8決勝は1対1の勝ち上がり方式で勝者を決める。1/8決勝の勝者6名と、3人ずつ2組で行なわれる敗者復活戦の勝者2名の8名が準々決勝に進む。残りの4名は9−12位決定戦へ。
 準々決勝、準決勝、決勝も1対1の勝ち上がり方式だ。ただし、ここからは1本勝負ではなく、2本先取した方が勝ちとなる。準々決勝の勝者4名が準決勝へ、準決勝の勝者2名が1位2位決定戦へ、残りの2名が3位4位決定戦へと進む。また、準々決勝の敗者4名は5−8位決定戦に進む。
 とリザルト見て推測して書いたんだけど、多分合ってると思う。思う?(^^;

 まず予選。女子500mTTの金メダリストのアンナ・メアーズ(オーストラリア)が11秒291のタイムでトップ通過した。2位はナタリア・ツイリンスカヤ(ベラルーシ)、3位はタミリア・アバソワ(ロシア)。2003年、2004年の世界チャンピオン、スべトラーナ・グランコフスカヤは7位という結果に終わった。
 1/8決勝では、メアーズ、ツイリンスカヤ、アバソワ、ムエンザー(カナダ)、ラレアル(ベネズエラ)、クルペクカイテ(リトアニア)が勝ち上がった。世界チャンピオンのグランコフスカヤはなんとここでもクルペクカイテに勝てず、敗者復活戦を戦ってなんとか勝ち上がった。敗者復活戦に勝って準々決勝へと駒を進めたもう一人はドイツのマインケだ。
 そして準々決勝。準決勝に勝ち進んだのはムエンザー、アバソワ、メアーズ、グランコフスカヤの4名。ほぼ順当な勝ち上がりといえる。
 準決勝ではムエンザーとメアーズ、アバソワとグランコフスカヤのロシア人同士が対戦した。優勝候補と目されていたメアーズ、グランコフスカヤがともに1本目を取ったものの、2本目、3本目を連取され、3位4位決定戦に回ることとなった。
 ということで決勝戦はムエンザーとアバソワの戦いに。ムエンザーは38歳のベテラン、アバソワは21歳の新鋭だ。この戦いは1本目、2本目ともにムエンザーが勝利し、アテネ五輪自転車競技では初となる金メダルを母国カナダにもたらした。
 メアーズとグランコフスカヤの戦いはこれまたメアーズが連取。銅メダルを獲得した。  (9月3日更新)

順位名前タイム
1本目2本目
1Lori-Ann Muenzerカナダ12.12612.140
2Tamilla Abassovaロシアspacerspacer
3Anna Mearesオーストラリア12.04211.822
4Svetlana Grankovskayaロシアspacerspacer

男子スプリント:

 男子スプリントではまず200メートルのタイムトライアルにより予選が行なわれ、上位18名が1/16決勝へ勝ち進む。
 1/16決勝、1/8決勝は1対1の勝ち上がり方式で勝者を決める。1/16決勝の勝者9名と、3人ずつ3組で行なわれる敗者復活戦の勝者3名の計12名が1/8決勝へと勝ち進む。
 1/8決勝も同様。勝者6名+敗者復活戦の勝者2名の計8名が準々決勝へ進む。残りの4名は9−12位決定戦へ。
 準々決勝、準決勝、決勝も1対1の勝ち上がり方式だ。ただし、ここからは1本勝負ではなく、2本先取した方が勝ちとなる。準々決勝の勝者4名が準決勝へ、準決勝の勝者2名が1位2位決定戦、残りの2名が3位4位決定戦へと進む。また、準々決勝の敗者4名は5−8位決定戦に進む。
 とリザルト見て推測して書いたんだけど、多分合ってると思う。思う?(^^;

 まず予選。男子の出場選手は19名。日本からは前日チームスプリントで銀メダルを獲得した長塚智広選手が出場。14位とまずまずの成績で1/16決勝に進む…はずだったが、レース後に脚の張りを訴えて本戦を棄権。残念です。長塚選手の写真はこちら
 予選の200mTTでトップタイムを叩き出したのはオーストラリアのライアン・ベイリー。以下ボス(オランダ)、ヴォルフ(ドイツ Wolffだったら「ウォルフ」じゃなくて「ヴォルフ」だよね?)の順。前日のチームスプリントでドイツの金メダルに貢献したニムケは予選19位で敗退…はせず、そんなこんなで1/16決勝に進むことができた。
 1/16決勝では、ベイリー、ボス、ヴォルフ、ブルガン(フランス)、ガネ(フランス)、エドガー(イギリス)、ジェリンスキ(ポーランド)、ビリャヌエバ(スペイン)、イーディ(オーストラリア)が勝ち抜いた。おおむね順当。敗者復活戦ではForde(バルバドス)、ムルダー(オランダ)、ング(マレーシア)が勝ち、計12名が1/8決勝に進んだ。
 そして同日行なわれた1/8決勝。勝者はベイリー、ボス、ヴォルフ、ブルガン、ガネ、ジェリンスキの6名。これまたおおむね順当といえる。唯一オーストラリアのイーディが敗れ、敗者復活戦でも勝ち上がれなかったのが意外といえば意外か。敗者復活戦で勝ち上がったのはエドガーとForde。Fordeは2回続けての敗者復活だ。
 準々決勝では、ベイリー、ボス、ヴォルフ、ガネ(ブルガンとフランス人同士の戦いだった)が、いずれも2本とも取って準決勝へと駒を進めた。
 準決勝はベイリーとガネ、ボスとヴォルフという顔合わせになった。勝ったのはベイリーとボス。いずれもストレートで相手を下しての決勝進出となった。
 さて決勝。1本目はボスが取った。しかし、2本目を取ったのはベイリー。いずれも僅差でのゴール勝負だった。そして決定戦。最初に動いたのはボスだった。先行していたベイリーをかわし、残り1周の鐘を聞いて一気にスピードを上げ、逃げ切りを図る。が、ベイリーが一気に差を詰め、最後のコーナーでボスをかわし、そのままゴールまで逃げ切った。スプリントの世界チャンピオンを下して金メダルを獲得したベイリーは22歳。2001年世界選手権のケイリンで、18歳の若さで勝利を収めた選手だ。
 3位4位争いはヴォルフがガネをストレートで下し、銅メダルを獲得した。
 ベイリーの勝利をカンガルーも祝福。しかし、表彰台での写真を見ると、とても小柄に見えてしまうけど、ベイリーの身長は181cm。ボスがデカいだけなのか(^^;。ちなみにボスの身長は190cmとのこと。  (9月4日更新)

順位名前タイム
1本目2本目3本目
1Ryan Bayleyオーストラリアspacer10.66110.743
2Theo Bosオランダ10.710spacerspacer
3Rene Wolffドイツ10.67710.612spacer
4Laurent Ganeフランスspacerspacerspacer

女子ポイントレース:

 女子ポイントレースは25km(250m×100周)で争われる。10周ごとに設定されたスプリントポイントの通過順位で与えられるポイント(1位通過なら5点、以下、2位3点、3位2点、4位1点)と、逃げを決めてメイン集団に追いつけば20ポイント、メイン集団に追いつかれたら−20ポイント(20ポイント減点)というラップポイントの合計点で争われる競技だ。

 出場者は23名。序盤から誰彼かまわずラップを取りに行き、トップがラップポイント80ポイントを荒稼ぎした男子ポイントレースとは異なり、女子ポイントレースはアタックこそ頻発したが、せいぜいリードは半周程度、遅れて集団にラップされた選手が20ポイントマイナスされる以外はラップポイントは発生しなかった。
 展開をいちいち拾っていっても長ったらしくなるだけなので、結果から言ってしまうと、勝ったのはロシアのオルガ・スリュサレワ。スリュサレワは女子の200mスプリントの世界記録保持者。序盤こそあまり動かなかったが、後半にその脚を活かして10個あるスプリントポイントのうち3つを獲り、2位のゲレロ(メキシコ)と6ポイント、3位のミラベラ(アメリカ)とは11ポイントの差をつけて金メダルを獲得した。
 実はポイント数を見ればコロンビアのマリアルイサ・カジェが序盤に稼いだ12ポイントで3位につけている。が、ドーピングによる降格でミラベラが繰り上がって銅メダルとなった。  (9月4日更新)

順位名前ポイント
1Olga Slyusarevaロシア20pt
2Belem Guerrero Mendezメキシコ14pt
3Erin Mirabellaアメリカ9pt
4Vera Carraraイタリア8pt
5Sarah Ulmerニュージーランド8pt
6Gemma Pascualスペイン7pt
7Katherine Batesオーストラリア7pt
8Katrin Meinkeドイツ5pt
9Yoanka Gonzalez Perezキューバ5pt
10Adrie Visserオランダ5pt

男子マディソン:

 ポイントレースは個人で争うのに対し、2人1組で行なうのがマディソンだ。片方が走っている時にはもう片方は流してて、後ろから追いつきざまにタッチして選手交代する。タッチといっても触れるだけじゃなくて、2人で手をつなぎ、走ってた選手が流してた選手をぐいっと押し上げるのが大きな特徴。
 距離は50km(250m×200周)。20周ごとにスプリントポイントが設定されており、この通過順位で与えられるポイント(1位通過なら5点、以下、2位3点、3位2点、4位1点)の合計点で争われる。ポイントレースでは集団を周回遅れにすると20ポイントのラップポイントが与えられるが、マディソンではこれがない。ただし、周回数はカウントされるため、いくら獲得ポイントが上回っていても、周回遅れでは順位が下になってしまう。もっとも周回数が多いチームの中で、獲得ポイントがもっとも高いチームが勝者となる。

 最初のスプリントポイントは集団のままイギリス、オーストリア、オランダ、ベルギーの順で通過した。その直後、ウルグアイがアタック。ウクライナがこれを追い、2つ目のスプリントポイント直前でとらえた。
 逃げの2チームに集団が近づいた時、オーストラリアのブラウンがカウンターアタック。ドイツチームだけがこれに反応した。2チームはリードを広げ、3つ目のスプリントポイントをドイツ、オーストラリアの順で通過し、さらに4つ目のスプリントポイント手前で集団をラップした。その上で4つ目のスプリントポイントをトップ通過してるんだからたいしたもんだ。ということで、この時点でオーストラリアは1ラップアップ、ポイント数でもドイツを抜いてトップに立った。
 攻撃は最大の防御。このアドバンテージを守るため、オーストラリアチームは攻勢に出た。が、このアタックは実らず。カウンターアタックの形で飛び出したのがウクライナチーム。集団をラップし、オーストラリア、ドイツと同一周回となった。この後、アルゼンチンもアタックしたが、ラップは獲れず、5つ目のスプリントポイントをトップ通過するに留まった。
 この後、集団で落車が発生した。落車したのはオランダのスリッペンスとイギリスのヘイルズ。幸いダメージはそれほど大きくなかったようで、どちらも数周後には集団に戻った。そんなこんなもあって集団がちょっと分裂してた時にスイスチームがアタック。もうちょっとで集団の後ろに追いつくという頃、6つ目のスプリントポイントがやってきた。スペインチームがトップ通過、以下ドイツ、オーストラリア、ウクライナの順で通過した。続いてこれまで集団でおとなしくしていたニュージーランドチームがアタック。ニュージーランドも1ラップアップとなった。
 7つ目のスプリントポイントの手前で、今度はコロンビアチームの選手が落車。が、集団に混乱はなく、スロバキアがトップ通過した。8つ目のスプリントポイントはスイスがトップ通過したが、オーストラリアもしっかり2番手通過。着実にポイントを拾っている。
 この時点で1ラップアップは、オーストラリア、スイス、ドイツ、ウクライナ、スペイン(いつ集団をラップしたんだろう? 6つ目のスプリントポイントのとこかしらん?)、ニュージーランドの6チーム。ポイントではオーストラリアが圧倒的にリードしている(オーストラリア16ポイント、ドイツ9ポイント、ウクライナとスペイン7ポイント、スイス5ポイント、ニュージーランド2ポイント)。スペインがラップを獲りに行こうとしたが、オグレディが逃がさなかった。先ほどヘイルズが落車したイギリスだが、ここでパワフルなアタックを見せた。そして、9つ目のスプリントポイントの手前で集団に追いついた。スプリントポイントはスイス、オーストラリア、ベルギー、ウクライナの順で通過した。
 ニュージーランドがラップを獲りに行ったが、スペイン、オーストラリアがマーク。ドイツも逃がしちゃいかんと差を詰めた。この時点でオーストラリアの金メダルはほぼ確定。スイスとイギリスが10ポイントで並び、ドイツ8ポイント、ウクライナ8ポイント、スペイン7ポイントという状況だった。銀メダル争いは最後のスプリントポイントにかかっている。
 残り10周、ニュージーランドが再度アタック。が、ウクライナがついていった。残り3周でコロンビアが先行。ブラウンが背後にぴったりつけていた。残り2周でスイスのリジが外側からまくった。そして最後の周回、リジに引っぱり上げられたマルブリが最後のスプリントポイントを獲り、銀メダルを手中にした。2番目にゴールランを通過したオグレディもガッツポーズ。オーストラリアが金メダル、スイスが銀メダル、イギリスが銅メダルという結果となった。
 こちらは両手を高々と挙げビクトリーランをするオグレディ。めっちゃ嬉しそうな笑顔が印象的だ。イギリスは途中落車してそこから追い上げて1周遅れを取り戻しての銅メダルだった。たいしたもんだ。

 …はいいんだが、やっぱりどうも納得できないものがある。マディソンは見てて面白いし、ポイント数えるのも楽しい。ポイントレースと並んで興味深くて面白い競技だと個人的に思ってはいるんだけども、日本チームが出ていないマディソンを生で最初から最後までやるんだったら、ポイントレースに10分や20分割いてくれても罰は当たらないと思う。ちょっとでもいいから見たいなぁ>ポイントレース  (9月4日更新)

順位メンバーポイント周回
1オーストラリアGraeme Brown/Stuart O'Grady22pt0
2スイスFranco Marvulli/Bruno Risi15pt0
3イギリスRob Hayles/Bradley Wiggins12pt0
4ドイツRobert Bartko/Guido Fulst9pt0
5ウクライナVolodymyr Rybin/Vasyl Yakovlev9pt0
6スペインMiquel Alzamora/Joan Llaneras7pt0
7ニュージーランドGreg Henderson/Hayden Roulston2pt0
8オーストリアRoland Garber/Franz Stocher8pt-1
9アルゼンチンJuan Esteban Curuchet/Walter Perez5pt-1
10ウルグアイTomas Margalef/Milton Wynants3pt-1

男子ケイリン:

 8月25日現地時間16時30分(日本時間22時30分)から行なわれた男子ケイリン1回戦に、伏見俊昭選手が出場した。
 ケイリンでは6〜8名ずつの選手が2000mを周回する。モーター付き自転車がペーサーとなって先導し、残り2.5周(625m)で退避。そこまでの位置取り争いと、ラスト1周の力のぶつかり合いが見ごたえのある競技だ。
 伏見は、男子スプリント金メダリストのベイリー(オーストラリア)、同じく銀メダリストのボス(オランダ)、この種目の世界チャンピオンのスタッフ(イギリス)、チームスプリント金メダルメンバーのフィードラー(ドイツ)といった強豪が顔を揃えた予選1組に出走。インコースでスタートした伏見は集団後方につけていた。残り2.5周でペーサーが退避。前に出たスタッフの後について伏見も先頭へ。そのまま先行か?と思ったら、外側からフィードラーがかぶせてきた。そして後方から上がってきたのがベイリー。残り1周、ジャンが鳴ったところでベイリー先行。そのまま逃げ切って準決勝へと駒を進めた。2位には地元ギリシャのバシロプロス。伏見はずるずる下がって6位でゴールし、敗者復活戦に出場することとなった。
 敗者復活戦では2組目で出場。ペーサーが退避してブランスのブルガンが行った。伏見は後に続き、外からかぶせて伏見先行。そのまま逃げ切りを狙ったが、ブルガン、ング(マレーシア)、Jose(グアテマラ)、マーティン(アメリカ)にかわされて5位でゴール。準決勝進出はならなかった。
 準決勝は2組に分かれて行なわれ、それぞれ上位3名ずつが決勝へと駒を進めた。決勝に進んだのはベイリー(オーストラリア)、ング(マレーシア)、エスクレド(スペイン)、ケリー(オーストラリア)、ヴォルフ(ドイツ)、ブルガン(フランス)の6名。
 ケリー、ベイリーのオーストラリアコンビが先行。フランスのブルガンが3番手につけた。ヴォルフがなかなか列に収まれない。残り4.5周ぐらいのところでやっと入れた。残り2.5周でペーサーが退避。ブルガンが2番手に上がってきた。外側からはエスクレド。いったんは5番手まで下がったベイリーが残り1.5周でまくった。残り1周はベイリー先行。2番手はエスクレド。ラストのコーナーでインにつけたヴォルフがちょっと膨らみ、その影響で一番外側にいたブルガンが落車。ベイリーがそのまま逃げ切って金メダルを獲得した。銀メダルはエスクレド。銅メダル争いは僅差でヴォルフが制したが、落車関連の審議の結果、ヴォルフは降格。4位に入ったケリーが銅メダルを獲得した。
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 リザルトは以下の通り。DNFはDo not Finish、RELは降格(Relegated)、DNSはDo not Start。  (8月25日更新)

順位名前タイム
1Ryan Bayleyオーストラリア10.601
2Jose Escuredoスペインspacer
3Shane Kellyオーストラリアspacer
DNFMickael Bourgainフランスspacer
RELRene Wolffドイツspacer
RELJosiah Ngマレーシアspacer
7Lukasz Kwiatkowskiポーランド10.685
8Jens Fiedlerドイツspacer
9Labros Vasilopoulosギリシャspacer
RELIvan Vrbaチェコspacer
DNSTheo Bosオランダspacer
DNSJamie Staffイギリスspacer

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