アテネ中心部を走る13.2kmの周回コースを9周する全長118.8kmのレース。あれこれ説明しようと思ったけど長くなるだけでまとまらないので、コースマップを見てもらった方が早いと思う。「街の中心部を走る周回コース」で想起されるイメージよりは、アップダウンがあってトリッキーなコースといえる。ゴール前400mほどがストレートだ。手前に上りがあるけど。
15時、18時に雨マークがついている。雲の陰から太陽も覗いてるから、時折晴れ間も覗くのか。それでも気温は30度前後と比較的高い。
女子選手にはあまり強くないので、cyclingnews.comによる注目選手を転載。
シドニー大会で金メダルを取ったのはオランダのLeontein Van Moorsel。ただし、Van MoorselとAnouska Van Der Zeeは、今回チームメイトのMirjam Melchers(UCIランキング1位)のために働くことになるだろう。ちなみにVan Moorselはファルムフリッツの選手。沖選手のチームメイトだ。
イギリスのNicole Cookeは、今年のGiro d'Italia Femminile(女子のジロ・デ・イタリア)で総合優勝した若い選手。ワンデーレースにも強い。
ロシアのZoulfia Zabirova、オランダのMirjam Melchers、フランスのJeannie Longoも注目株。Longoはなんと1958年生まれの45歳。どれだけ長く走ってるかというと、Longoが最初にオリンピックに出場した1984年に生まれた選手もアテネ大会に出場しているぐらい。
Trixi Worrack、Judith Arndtのいるドイツ、Oenone Wood、Olivia Gollan、Sara Carriganのいるオーストラリアにも注目したい。
また、アテネのこのコースはアメリカのDede Barry向きのコース、らしい。
もちろん日本チームの沖美穂選手、唐見実世子選手にも注目したい。頑張れ!
ちなみに女子ロードレースは1チーム最大3人。どこのチームも足を使いたくない気持ちは一緒なので、序盤から積極的なアタックが相次ぐということはあまりないだろう。
15:03
67人の選手がスタート。スタート時点ではとりあえず雨は降ってないらしい。
15:19
レース開始前は強く吹いてた風が穏やかになってきたらしい。雨も大丈夫そう(ほっ)。
15:24(13.2km/残り105.6km)
1周回目終了。集団はまだひとつのまま。
集団の先頭にはオランダチームが。上りに差し掛かり、集団から数人が千切れ始めた。
15:37
Edwige Pitel(フランス)が落車。バイク交換が遅れ、集団に追いつくのには時間がかかりそう。
あまり動きが見られない。どの選手が集団の前の方にいるかをいちいち拾ってもあまりピンと来ないと思うので、何か動きがあった時のみ更新する予定。終盤忙しそうだな(^^;。
16:11(40km/残り78.8km)
3周回目が終わり、残り6周回に。まだ動きはない。
16:21
1周回目の落車でバイクを交換したPitel(フランス)がもう一度バイクを交換。
と、その頃、集団の先頭ではEneritz Iturriaga Mazaga(スペイン)が上りでこの日最初のアタック。集団は本気で追いにはかからず、ちょっと差が開いた。
16:24
リトアニアチームのJolanta PolikeviciuteとRasa Polikeviciute(双子の姉妹)が集団のペースを上げ、Iturriaga Mazagaを追う。Iturriaga Mazagaと集団のタイム差は30秒に広がった。
16:30
Janildes Fernand Silva(ブラジル)がアタック。Iturriagaと集団の間で宙ぶらりんになっている。Iturriagaのリードは42秒。
16:32(52.8km/残り66km)
4周回目終了。残り5周回。
16:34
先頭のIturriagaから単独2番手のFernandまでは42秒、Iturriagaから集団までは1分14秒に広がった。
風が強くなってきたらしい。しかも向かい風…。
16:42
Fernandが集団につかまった。その瞬間、Rasa Polikeviciuteがカウンターアタック。しかしこの逃げは決まらなかった。
と思ったら、今度はManon Jutras(カナダ)がカウンターアタック。これはチームメイトのLyne Bessetteのための動き。他のチームにプレッシャーを与えるため、らしい。
そんなこんなの動きで、Iturriagaと集団のタイム差が詰まり始めた。現在50秒差。
Jutrasはイギリスチームの追い上げで集団につかまった。
16:49
いくつかのアタックがあったが、いずれも決まらず、単独で逃げていたIturriagaも集団につかまり、レースは振り出しに戻った。
この時点で、集団に残っているのは45人ほどの選手。
16:58(66km/残り52.8km)
先ほど一度アタックした(16:49の「いくつかのアタックがあったが」の中のひとつ)Judith Arndt(ドイツ)が再びアタック。
16:59
Arndtがつかまり、今度はフランスのHuguet(今年、女子のワールドカップレースの1つ、フレッシュワロンヌで勝利した)がアタック。集団に対して15秒ほどの差をつけた。
17:06
Huguetのリードは55秒に広がった。集団では焦って追おうというような動きはまだ見えない。
17:08
Jutrasが集団の先頭で必死に引き始めた。今日はBessetteのためによく働いている。
17:10
Huguetと集団のタイム差が詰まり始めた。と思ったら、また集団からアタックが。今度はBessetteだ。ただし、集団は下りにかかっていて、差を広げるのは難しそう。
17:15
Huguetは相変わらず単独で逃げている。が、単独だと風がちょっとつらいかも。
後続の集団から、Arndtら5人の選手がアタック。Pitelもそのグループの中にいるが、これは逃げているHuguet(チームメイトね)のための動きだ。
Huguetがつかまった。集団は長く伸び、7人の選手が集団から飛び出した形になっている。
17:16
Nicole Cookeが先頭の7人に追いついた。先頭グループにはオーストラリアチームの選手が2名いる。集団からさらに3人が追いつき、Arndtが先頭で頑張っている。
17:18(79.2km/残り39.6km)
Arndtが振り返って、先頭交代のために上がってきたGollan(オーストラリア)に何かを尋ねている。Thorburn(アメリカ)、Van Moorsel(オランダ)も先頭グループにいる。
17:19
残り3周回。また数人が先頭グループに加わった。先頭グループは25人に膨れ上がり、集団は大きく分けて先頭グループと後続の2つという状況となった。
17:22
後続の集団が先頭に追いつき、集団はまたひとつに戻った。
17:23
Bessetteがもう一度アタック。折りしも集団がひとつに戻って速度が緩んだところ。いいタイミングだったかもしれない。
Bessetteは集団に15秒ほどの差をつけた。
17:25
PitelがBessetteを追うために集団の先頭でペースを上げる。Bessetteは単独で長距離逃げられる選手。みすみすと逃がすわけにはいかない。
17:32
Pitelがアタック。Van Moorselが後に続き、2人は集団からちょっと飛び出した形になった。
17:35
Bessetteがつかまりそう。でもまだ諦めない。肩越しに集団をチェックし、もう一度速度を上げた。
17:37
残り2周回。集団は縦に長く伸びている。Bessetteが集団につかまった。
そしてすぐにSue Palmer Komar(カナダ)がカウンターアタック。
17:39
Palmerがたちまち差を広げた。Palmerは有力選手とはみなされていないが、とても力のある選手。しかも今年は調子がいい。集団としては逃がしたくないだろう。
17:42
Van Mooselが肩越しに振り返った時、前輪が前の選手の後輪をはすって落車。Bassetteがこれに巻き込まれた。集団の前の方での落車だった。
17:43
落車に巻き込まれたChristine Thorburn(アメリカ)はレースに復帰。巻き込まれたのはVan Moorsel、Bassette、Thorburnの3人で、Van Moorselはなかなか起き上がれない。ストレッチャーで運ばれ、リタイヤと相成った。
17:43
Palmer Komarと集団の差は1分12秒。
17:50
集団からイタリアのNoemi Canteleがアタック。
17:53
スペインのSomarribaがPalmer Komar、Canteleの後を追って集団からアタック。Melchers(ドイツ)、Ljungskog(スウェーデン)、Wood(オーストラリア)、Cooke(イギリス)も後に続いた。
17:56
風が強い。単独で逃げているPalmerにこれは不利だ。Canteleがつかまり、後続はまたひとつの集団になった。
17:59
Arndt、Cookeが先頭交代をしてペースを上げる。
Arndt、Wood、Cooke、Melchers、Sommariba、Slyusareva(ロシア)の6人が集団から飛び出しPalmerの10秒背後に迫った。
集団の中ほどで落車発生。Angela Brodtka(ドイツ)が落車。でもすぐに立ち上がってレースに復帰した。
18:00
6人はPalmerをとらえ、先頭グループは7人になった。オーストラリアのCarriganが追いつき、集団は8人に。
18:02(105.6km/残り13.2km)
ラスト1周回。
18:04
Slyusarevaは素晴らしい足を持ったスプリンターだ。残りの選手達はゴールの手前でSlyusarevaを千切っておきたいところ。
オーストラリアチームは、逃げのグループに唯一2人を送り込んでいる。アメリカチームは逃げに選手を送り込めず、Thorburnはチーム名とのBarryとArmstrongのために強力に追い上げ始めた。
18:06
先頭グループと後続のタイム差が詰まり始めた。もうそれほど離れてはいない。
18:07
Kristin ArmstrongとPucinskaiteが後続から飛び出し、先頭グループを追った。この時、先頭グループから2名いる利を活かしてCarriganがアタック。
18:10
ArmstrongとPucinskaiteが先頭まで追いついた。しかし、集団との差もそれほどあるわけではない。ただし、もしも逃げのグループが集団につかまらずに上りにたどり着けば、吸収されずに残るだろう。
Carriganのアタックはとてもいいタイミングだった。もしも集団がいま逃げのグループに追いついたら、集団の速度がいったん緩み、Carriganに有利に働くだろう。
逃げのグループからArndtがアタック。Carriganに追いついたら面白いことになりそう。
18:13
ArndtがCarriganとの差を詰めているのに、逃げのグループは協力して追うという感じではない。
ArndtがCarriganに追いつき、すぐに先頭交代のために前に出た。
18:14
背後ではCookeがアタック。Melchers、Woodが後を追った。
Palmerが脱落。ペースがかなり上がっている。
18:18
CarriganとArndt、2番手集団、大集団の差はそれぞれ15秒ほど。
Pucinskaiteが下りで落車。Melchers、Cookeも巻き込まれ、2番手集団の追い上げが止まった。
18:21
ArndtとCarriganがさらにリードを伸ばした。ゴールが徐々に近づいてくる。
Sommaribaが2番手集団からアタック。が、残りの選手もついてきた。2人と2番手集団のタイム差は21秒。
2番手集団からMelchersがアタック。Slyusarevaが後を追った。落車したPucinskaiteはレースには復帰したものの、なかなか追いつけない。
18:22(116.8km/残り2km)
残り2km。Arndt、Carriganは金メダルに向けてアタックするタイミングを計っている。
そして残り1km。Arndtが先行している。
18:24
Carriganは付き位置のまま。Arndtがずっと先頭で引いている。ついにCarriganがアタック。ここまでさんざん足を使ったArndtは反応できず。そしてCarriganがアテネ五輪金メダルを手に入れた。
18:25
2番手集団の先頭はWood。Slyusarevaがアタックし、CookeとWoodをかわして3位でゴール。銅メダルを手に入れた。
前日の男子のレースと比べ、気温こそ高くなかったが、風が強く、この日もまた過酷なレースとなった。
優勝したCarriganは、1980年生まれの23歳(プロフィールはこちら)。2002年、2003年のAustralian Female Road Cyclist of the Year(オーストラリア女子ロード年間優秀選手賞、みたいな感じか)に輝いている。面白いのが、話せる言葉。「英語、イタリア語、日本語」と答えている。日本語? また、「あなたのヒーロー/アイドルは?」の問いに「ドイツの自転車選手。Arndtとヤン・ウルリッヒ」との答え。君はえらい!(←ドイツ人びいきのつるりんコメント(^^;)というのはこっちにおいといて、その憧れのArndtと一緒に逃げられて(Arndtが引きっぱなしだったけど。というのは、同チームのスプリンターWoodが後ろのグループにいたために無理して引く必要もなかった。逃げに2名を送り込んだオーストラリアチームの作戦勝ちということだろう)、しかもそのArndtをかわして金メダルを取ってしまったのだから、喜びもひとしおだろう。拳を振り上げ喜びを表わすCarrigan選手。
で、落車でリタイヤしてしまったディフェンディングチャンピオンのVan Moorsel(オランダ)は、転倒した際に肩、肘、でん部を痛めたそう(cyclingnews.comに落車後、立ち上がれないVan Moorsel選手の写真が載っている)。前回のシドニー大会ではロードと個人TTで金メダルを手にしたほか、トラックの3km個人追い抜きで金メダル、ポイントレースで銀メダルをゲット。「今回は金はひとつで十分」ということで、ロードはMirjam Melchersのアシストに徹し、18日に行なわれる個人TTに狙いを定めて来ていたそう。メダル以前に走れるかどうかが懸念されていたが、本人は痛みはあるものの走る気満々という話だ。個人TTも注目して見てみたい。
忘れてはいけないのが、沖選手、唐見選手の健闘だ。沖選手がトップから1分18秒遅れの20位、唐見選手は6分06秒遅れの41位でいずれも完走。沖選手の20位というのは、日本人選手としてはこの種目の過去最高の成績とのこと。
155cm、48kgの沖選手は、出場選手の中でもっとも身長、体重が低い選手なんだそうだ。オリンピック公式サイトに沖美穂選手が先頭を引いている写真が載ってるけど、ひときわ小柄なのが見て取れる。4周目で足がつってしまったとのことだが、逃げの2人、逃げてた選手がパラパラゴールした後の20人ほどの集団の中ほどでゴールしたのはたいしたものだ。ついでにYahoo!ニュースに沖選手のコメントが載ってます。腰と首を痛めてたのね。
唐見選手は序盤から集団半ばから後方に位置していたようだけど、最後まで食らいついてよく頑張ったと思う。残念ながら写真は見つけられず。8月16日発行された「CYCLE FUN」(白夜書房 630円)の唐見選手の記事はとても面白い。唐見選手が所属する「カツリーズ」のオーナーの成田氏の心意気はとても男前だと思うし、また実業団チームあるいはプロチームで走る選手達と並びアテネへのチケットを手に入れ、そして完走を果たした唐見選手もまた男前だと思う(女性相手にごめんなさい。でも最大限の賛辞です)。来年はイタリアのチームで走るという唐見選手。今後の活躍も期待してます。
なお、日本自転車競技連盟(JCF)WEB SITEにアテネオリンピック女子ロードレポートが載ってます。
順位 | 名前 | 国 | タイム |
---|---|---|---|
1 | Sara Carrigan | オーストラリア | 3.24.24 |
2 | Judith Arndt | ドイツ | 0.07 |
3 | Olga Slyusareva | ロシア | 0.39 |
4 | Oenone Wood | オーストラリア | |
5 | Nicole Cooke | イギリス | |
6 | Mirjam Melchers | オランダ | 0.42 |
7 | Joane Somarriba Arrola | スペイン | |
8 | Kristin Armstrong | アメリカ | |
9 | Edita Pucinskaite | リトアニア | 0.46 |
10 | Jeannie Longo Ciprelli | フランス | 0.59 |
20 | 沖 美穂 | 日本 | 1.18 |
41 | 唐見 実世子 | 日本 | 6.06 |