56thドーフィネリベレ速報

プロローグ

 ツール・ド・フランスの前哨戦として注目を集めるドーフィネリベレが6日開幕した。ディフェンディングチャンピオンのランス・アームストロング(USポスタル)、タイラー・ハミルトン(フォナック)、イバン・マヨ(エウスカルテル)らが出場し、今年も要チェックだ。
 プロローグは5.4kmの個人TT。結果から言っちゃうと、トップタイムを叩き出したのは去年もプロローグでステージ優勝したイバン・マヨ(エウスカルテル)だ。0.72秒差の2位につけたのはタイラー・ハミルトン(フォナック)。ランス・アームストロングはマヨから1.41秒差の3位に入った。タイムトライアルの世界チャンピオンに輝いたデイヴィッド・ミラー(コフィディス)は11.65秒遅れの11位。リザルトを見て目に付くのが、フォナックの好調さだ。2位のハミルトンを筆頭に、ペレイロ4位、セビリャ6位、デッセル7位、グティエレス8位と、10位以内に5人も入っている。今年のツールでも台風の目になりそうだ。  (2004年6月7日)

順位名前チームタイム
1イバン・マヨエウスカルテル7.51.99
2タイラー・ハミルトンフォナック0.00.72
3ランス・アームストロングUSポスタル0.01.41
4オスカル・ペレイロフォナック0.02.49
5マイケル・ロジャースクイックステップ0.05.85
6オスカル・セビリャフォナック0.05.93
7シリル・デッセルフォナック0.07.62
8ホセ・グティエレスフォナック0.08.06
9ローラン・ルフェーブルブリオシュラブランジェール0.09.77
10リーヴァイ・ライフェマーラボバンク0.11.35

第1ステージ

 長いダウンヒルに始まり、山岳ポイントとしては3級、4級が1つずつだが、中盤までアップダウンの連続、後半はまぁおおむね平坦といえる第1ステージ。暑くて無風の日だったらしい。
 この日はジミー・カスペール(コフィディス)の単独での逃げが決まった。一時はなんと17分にまでリードを広げたが、エフデジュが先頭を引く集団の追い上げで徐々にタイム差が縮まっていった。カスペールのリードが1分にまで縮まった残り55kmの付近で、R.A.G.Tのクリストフ・ローランがアタック、単独で逃げていたカスペールに追いついた。リードは3分ほどに広がったものの、エフデジュ、コフィディス、クレディアグリコルら、スプリンターを抱えるチームの引きにより、残り2kmで集団に吸収された。そして集団でのゴールスプリントを制したのはクレディアグリコルのトール・ハスホフト(←J SPORTS読み。他にヒュースホーウト、フスフォウドなどいろいろな表記がある)。去年までのチームメイト、今年コフィディスに移籍したスチュワート・オグレディも最後ハンドルを投げたが、わずかに及ばなかった。
 ちなみにカスペールは2つのスプリントポイントをトップ通過してスプリント賞の青ジャージをゲットした。個人総合成績は変わらず。ドーフィニリベレの山岳賞ジャージは、ツールのマイヨアポアの逆バージョン、赤字に白水玉なのね。見慣れないせいでしょうけど、ランス似合わん(^^;。  (2004年6月10日)

順位名前チームタイム
1トール・ハスホフトクレディアグリコル6.03.47
2スチュアート・オグレディコフィディス
3サムエル・デュムランAG2R
4バーデン・クックエフデジュ
5オスカル・フレイレラボバンク
6ジェローム・ピノーブリオシュラブランジェール
7ユリイ・クリヴトソフAG2R
8ペドロ・オリリョクイックステップ
9ホセ・グティエレスフォナック
10イナキ・イサシエウスカルテル

第2ステージ

 さて第2ステージ。中盤までに4級の山岳が2つ、後半に4級、4級、2級の山岳があり、15kmほどで標高差にして660mを下るダウンヒルを経て、ラストちょい上ってゴールというなかなか厳しいステージだ。
 この日はギョーム・オージェ(RAGT)がまずアタック。これにアントニー・ジェラン(ブリオシュ)、アンディ・フリカンジェ(AG2R)、エリック・デッケル、カルステン・クローン(ラボバンク)が反応し、5人での逃げとなった。集団は逃げを容認。最初の山岳ポイント(70km地点)では集団に対して4分20秒のリードを持っていた。一時は5分ほどに広がったが、中間地点を越えた頃から集団の先頭をコントロールするエウスカルテルがペースを上げ、結局この逃げは残り50kmほどの地点で吸収された。そして最後の山頂まであと2kmという地点でそれまでエウスカルテルの背後で足を温存していたホセ・グティエレス(フォナック)がアタック。グティエレスというと、プロローグの個人TTで8.06秒差の8位につけている選手。これを逃してはいけないと集団は懸命に追い上げを図るが、差はなかなか縮まらず、集団に7秒差をつけてゴールした。ボーナスポイントの10秒もゲットし、ステージ優勝とともにリーダージャージをも手に入れた。
 マヨ、ハミルトン、アームストロングらは7秒遅れの集団でゴール。個人総合成績はマヨが8秒差の2位、ハミルトン9秒差の3位、アームストロング10秒差の4位につけている。山岳賞を積極的に取りに行ったエリック・デッケル(ラボバンク)が山岳賞ジャージをゲットした。
 いまさら気づいたんだけども、去年はアレッシオにいたローラン・デュフォー、今年はクイックステップに移籍してたのね。ってことはリシャール・ヴィランクと同チーム。今年は同じジャージを着た仲良しコンビの逃げが見られるのかな。  (2004年6月10日)

順位名前チームタイム
1ホセ・グティエレスフォナック4.36.44
2シリル・デッセルフォナック0.07
3スチュアート・オグレディコフィディス
4ジェローム・ピノーブリオシュラブランジェール
5アレクサンドル・ボチャロフクレディアグリコル
6オスカル・ペレイロフォナック
7フレデリック・ゲドンエフデジュ
8アンドレア・ペロンCSC
9イバン・マヨエウスカルテル
10マイケル・ラスムセンラボバンク

第3ステージ

 毎日アップダウンがあるんだなぁ。第3ステージはしょっぱなから上りで、2級、2級、3級、2級の山岳がある。日々好天で、気温がずいぶん高いらしい。
 そーかー。スタート地点のSt.Etienneという町は、去年パリ〜ニースでアンドレイ・キビレフが落車して亡くなったところなのね。あれからもう1年以上経つんだなぁ。しんみり。
 最初の山岳の頂上付近でジェローム・ピノー(ブリオシュ)がアタック。続いて次の山岳ポイントへの上りでイケル・フロレス(エウスカルテル)がアタックし、トンバク(コフィディス)、ポルタル(Ag2r)がこれを追った。その後4人は合流し、しばらく4人で逃げ続けた。が、ピノーが監督の指示で集団に戻り、逃げのグループは3人に。集団とのタイム差は5分近くに広がった。
 残り36km、2級の山岳の山頂付近でフロレスがアタック。一時は残りの2人に1分15秒の差をつけた。この上りでブリオシュ・ラ・ブランジェールのピションが落車して、15mの峡谷を転がり落ちたらしい。とりあえず命には別状がなかったらしいんだけども、いやーん(;_;)って感じです。ともあれ、残り15kmの地点で、ポルタルとトンバクがフロレスを捕らえた。そして短いけどもテクニカルで曲がりくねったラストの上りでポルタルがアタック。そのまま逃げ切ってステージ優勝を収めた。2位トンバク、3位フロレス、4位争いはスチュワート・オグレディが制した。上りも強いなぁ。オグレディは。
 総合上位はトップから1分49秒遅れの集団でゴール。個人総合に変動はなかった。  (2004年6月10日)

順位名前チームタイム
1ニコラ・ポルタルAG2R4.41.42
2ヤネク・トンバクコフィディス0.51
3イケル・フロレスエウスカルテル
4スチュアート・オグレディコフィディス1.49
5トマ・ヴォクラーブリオシュラブランジェール
6バーデン・クックエフデジュ
7ホセ・グティエレスフォナック
8イバン・マヨエウスカルテル
9ランス・アームストロングUSポスタル
10エゴイ・マルチティネスエウスカルテル

第4ステージ

 ドーフィネリベレ第4ステージは、ツールでもおなじみモンバントゥーでの山岳個人タイムトライアルだ。21.6kmで標高差にして1629mを上りきる。しかも単独で。今年のツールでラルプデュエズでの山岳個人タイムトライアルが行なわれることもあり、ツールで総合上位に食い込むであろう選手達の仕上がり具合を見るという意味合いでも注目を集めている。…何で森林限界超えちゃったとこを自転車でのぼらにゃあかんのよ、と個人的には思うけど、この際そんな感想はどうでもいい(^^;。
 レースが終わっちゃってから個人TTの経過を時系列順に追ってみてもしゃーないので、結果から言ってしまうなら、プロローグの個人TTを制したエウスカルテルのイバン・マヨが2位のハミルトンを30秒以上も上回る55分51秒というダントツのタイムでステージ優勝を果たした。しかもこのタイム、5年前にジョナサン・ヴォータースが叩き出した56分50秒という記録を1分近く上回る最高記録を樹立。いやーマヨ、いいっすねー。
 2位は前述の通りタイラー・ハミルトン(フォナック)。ハミルトンの56分26秒という記録もマヨに塗り替えられるまでは最高記録だった。3位は好調オスカル・セビリャ(フォナック)、4位ファンミゲル・メルカド(クイックステップ)、ランス・アームストロング(USポスタル)はマヨから1分58秒遅れの5位という結果だった。決して調子が悪いわけでも流して乗っていたわけでもないランスのこの結果には、正直ちょっと驚かされた。もちろんこれだけでランスの力が衰えた、今年のランスは走れないと決め付けてしまうのは早計だが、少なくとも今年のツールもエキサイティングなものになるだろうということはいえると思う。
 話は戻ってリーダージャージを着たグティエレスはマヨから2分44秒遅れの7位でフィニッシュ。決して悪い成績ではなかったが、リーダージャージはマヨの手に移った。  (2004年6月12日)

順位名前チームタイム
1イバン・マヨエウスカルテル55.51.49
2タイラー・ハミルトンフォナック0.35.26
3オスカル・セビリャフォナック1.03.09
4ファンミグエル・メルカドクイックステップ1.48.44
5ランス・アームストロングUSポスタル1.57.89
6イニーゴ・ランダルーセエウスカルテル2.22.75
7ホセ・グティエレスフォナック2.44.09
8リーヴァイ・ライフェマーラボバンク3.21.18
9マイケル・ラスムセンラボバンク3.33.38
10ステファーヌ・グーベールAG2R3.35.81

第5ステージ

 山岳個人TT明けの第5ステージは、中盤まで上り基調(4級の山岳2つ)、以降おおむね下り基調だが、ラストは4級の山岳が1つある11kmの周回コースを2周し、ラストちょこっと上ってゴールというコース設定となっている。
 序盤から多くのアタックがあったが、決定的な逃げとなったのは37km地点でのクリフトソフ(Ag2r)、オグレディ(コフィディス)、クック(エフデジュ)、ヒンカピーとペーニャ(USポスタル)、フェドリゴ(クレディアグリコル)、ニコラ・ジャラベール(フォナック)、ピノー(ブリオシュ)、デフロート(ラボバンク)の逃げだった。9人は着実にリードを伸ばし、道のりの半分ほどの地点で集団とのタイム差は6分以上に広がった。そして残り60kmの地点でオグレディがアタック。ヒンカピーが後に続いた。2人はリードを広げ、周回コースに入った頃には逃げの残党に対して42秒、エウスカルテルがコントロールする大集団には7分35秒のタイム差をつけていた。タイム差は縮まらず、ラストは2人のスプリント勝負となった。これを制したのはスチュワート・オグレディ。ヒンカピーはタイム差なしの2位となった。3位は1分33秒遅れでバーデン・クック、以下、何人かずつバラけながら逃げのグループにいた選手達が続き、大集団はオグレディから6分12秒遅れでゴールした。
 総合上位の選手は全員同タイムでのゴールとなったため、個人総合に変動はなかった。ポイント賞はオグレディ、山岳賞はマヨ。  (2004年6月12日)

順位名前チームタイム
1スチュアート・オグレディコフィディス3.13.21
2ジョージ・ヒンカピーUSポスタル
3バーデン・クックエフデジュ1.33
4ジェローム・ピノーブリオシュラブランジェール
5ニコラ・ジャラベールフォナック2.14
6ユリイ・クリヴトソフAG2R3.09
7ブラム・デフロートラボバンク
8ピエリック・フェドリゴクレディアグリコル3.11
9ヴィクトルウーゴ・ペーニャUSポスタル3.16
10トール・ハスホフトクレディアグリコル6.12

第6ステージ

 ドーフィネリベレ第6ステージは、なんかもう見てるだけでつらい気持ちになるようなコース設定だ。スタートからいきなり上りで、8kmぐらいの地点に2級の山岳ポイントがある。以下、4級、3級、4級、3級、1級、3級、3級の山岳ポイントが設定されている。ラストは急な下りの後、4kmほど下り基調、でもおおむね平坦な道を走ってゴールとなる。
 この日、序盤から逃げたのはマイケル・ラスムセン(ラボバンク)、イヴァン・バッソ(CSC)の2人だった。第5ステージ終了時点でラスムセンが9分22秒遅れの35位、バッソが14分36秒遅れの48位と個人総合で大きく遅れを取っていたため、集団は2人の逃げを容認。30km地点で2人のリードは5分にまで広がっていた。
 その後、バッソがメカトラブルで遅れ、ラスムセンは単独で逃げることとなった。85km地点でラスムセンと後続の集団のタイム差は9分。後続からカルロス・サストレ(CSC)、ホセ・アゼベド(USポスタル)、ホセエンリケ・グティエレス(フォナック)がアタックするも決まらず。ラスムセンは後続の集団に6分43秒のリードを持ったままゴール。ステージ優勝を果たした。途中遅れたバッソもそのまま逃げ切り、ラスムセンから5分20秒遅れでゴールした。
 この日の結果を受けて個人総合上位には変更なし。山岳賞がラスムセンの手に渡った。
 この日90km地点でタイラー・ハミルトンが左カーブを曲がりきれずにクラッシュ。体の左側にひどい擦過傷を負ったらしい。左前腕が擦りむけまくった写真がwww.cyclingnews.comあたりで見られる。結局ハミルトンは集団に戻り、マヨやアームストロングと同じ集団でゴールしてはいるが、それにしても落車が多い人だと言わざるを得ない。それがすなわちバイクコントロールの下手さにつながるかどうかは定かではないが、位置取りなりなんなりでなんらかの問題があるんじゃないかとつい思ってしまう。とりあえず第7ステージも無事出走したので、それほど大きなダメージではなかったのかも。…ったってなー。鎖骨を骨折しても完走どころかステージ優勝まで果たした人だもんなー。怪我の程度は神のみぞ知るってとこで。  (2004年6月15日)

順位名前チームタイム
1マイケル・ラスムセンラボバンク4.04.44
2イヴァン・バッソCSC5.20
3トマ・ヴォクラーブリオシュラブランジェール6.43
4ホセ・グティエレスフォナック
5ファンミグエル・メルカドクイックステップ
6トーマス・ロヴクヴィストエフデジュ
7カルロス・サストレCSC
8フロイド・ランディスUSポスタル
9リシャール・ヴィランククイックステップ
10アレクサンドル・ボチャロフクレディアグリコル

第7ステージ

 というわけで最終ステージ。この日もやっぱりギザギザだった。序盤こそなだらかだが、2級、4級、2級と来て、いったんスタート時と同じぐらいの標高まで一気に下り、1級の山岳を経て、またスタート時と同じぐらいの標高まで一気に下るというプロフィール。つらいっすねー。
 この日も序盤に動きがあった。サンディ・カサル(エフデジュ)がまずアタック。これにスチュアート・オグレディ(コフィディス)、ニコラ・レイノー(RAGT)、ペドロ・オリリョ(クイックステップ)、アントニー・ジェラン(ブリオシュ)、ドミトリ・ムラウレフ(クレディアグリコル)の5人が加わった。
 6人は協力して逃げ続けた。この逃げにも個人総合を脅かす選手が含まれていなかったため、集団は逃げを容認。リードは13分近くにまで広がった。6人の中でポイント賞のグリーンジャージを着たオグレディは要注意人物だ。ゴール前まで引き連れて行ったらうるさいことになる。そして、最後の上りでムラウレフがアタック。オグレディがこれを追った。これに反応できたのはカサルだけだった。ムラウレフは、背後から追いついたオグレディとカサルに着いていくことができなかった。
 上りの途中でカサルがアタック。山頂まで一緒にいたら、勝機を逸すると考えてのことだった。カサルは懸命に逃げたがリードは20秒止まり。オグレディは山頂まで2kmの地点でカサルを捉えた。
 オグレディが先行したまま下り始めたが、カサルはカーブのたびに引き離された。そしてオグレディはカサルに19秒の差をつけてゴール。第5ステージに続いて2勝目を上げた。
 総合上位のマヨ、アームストロング、ハミルトン、セビリャらは先頭から6分44秒遅れの同タイムでゴール。個人総合上位に変動はなかった。ということで総合優勝はイバン・マヨ、ポイント賞はスチュアート・オグレディ、山岳賞はマイケル・ラスムセン、敢闘賞(? Combination classification)はホセエンリケ・グティエレス(フォナック)、チーム総合成績はフォナックが1位という結果に終わった。
 さてこの結果が約3週間後のツール・ド・フランスにどうつながるのか。ランスの6連覇はなるのか。今年のツールも波乱含みになりそう。  (2004年6月15日)

順位名前チームタイム
1スチュアート・オグレディコフィディス5.21.40
2サンディ・カザルエフデジュ0.19
3ペドロ・オリリョクイックステップ3.14
4ドミトリ・ムラフエフクレディアグリコル
5ニコラ・レイノーR.A.G.T.4.53
6アントニー・ジェランブリオシュラブランジェール4.55
7ランス・アームストロングUSポスタル6.44
8ホセ・グティエレスフォナック
9オスカル・ペレイロフォナック
10リーヴァイ・ライフェマーラボバンク

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