2004 ツール・ド・フランス プロローグ

コースプロフィール:
 2004年ツール・ド・フランスのプロローグは、クラシックレース、リエージュ・バストーニュ・リエージュでおなじみのリエージュでの個人タイムトライアル。コースはほぼ平坦(中盤過ぎにゾウを呑んだうわばみのような形のでっぱりアリ…ってどんなだ?(笑))だが、距離は短いものの石畳も登場する。距離は6.1km。

現地の天候:
 朝のうちは晴天だった(どうでもいい写真リンクだ(^^;)ようだが、スタート前に雨が降り始めた。数人が走り始めたところで雨は上がり、とりあえず最後まで天気はもった。

レースの展開:
 結果から言ってしまうと、先日行なわれたナショナル選手権でスイスのTTのチャンピオンに輝いた(昨日「そうだよ、スイス人だからインタビューはドイツ語なんだよ」と思いながら「イタリアのTTのチャンピオン」と書いてしまった)ファビアン・カンチェッラーラ(ファッサボルトロ)がトップタイムを叩き出し、ステージ優勝。2秒遅れの2位にはツール6連覇を狙うランス・アームストロング(USポスタル)が入った。去年のプロローグの覇者ブラッドリー・マクギー(エフデジュ)は9秒遅れの4位、期待されたヤン・ウルリッヒ(T-Mobile)は17秒遅れの16位に終わった。

 カンチェッラーラは23歳のスイス人。つい先ごろスイスのTTチャンピオンになったばかりだが、98年、99年の世界選手権でジュニアのTTチャンピオンにも輝いたTTのスペシャリストだ。チームとしてもカンチェッラーラのステージ優勝をかなり狙っていたようで、J SPORTSの現地からの電話レポに登場したスタッフ(メカニコ?)も自信を隠そうとしていなかった。それにしても嬉しそうだったカンチェッラーラ。涙で声を詰まらせるシーンが印象的だった。マイヨジョーヌの裾で涙をぬぐっちゃったシーンも(笑)。スタジオで解説していた永井さんもホントに嬉しそうだった。ちなみに砂田さんの日記によると、このカンチェッラーラ、オートバイに乗ってる砂田さんに「コンニチハ」とか「オアヨウゴザイマース(オハヨウと言えないらしい)と日本語で声をかける明るいキャラらしい。「まだ23歳のガキである」には思わず笑ってしまった。

 個人的にはウルリッヒの16位というのが気になった。誰もが口を揃えて「今年は締まってる」「頬がこけてる」というが、スタート前にアップする映像を見たら、ちょっと痩せすぎ、目の周りが落ち窪んでる感じがした。去年のランスっぽい印象。ツール・ド・スイスからかなり厳しいトレーニングを積んだのか。まぁ見た目だけ、プロローグだけでははかれないのがレースだけどね。

 無事出場したチッポリーニ(ドミナヴァカンツェ)は濃いブルーと水色の2色の全身スーツで出場…するはずだったのが、足がちょっとキツかったらしく、スタート前に太もものあたりにはさみを入れ普通のビブショーツぐらいの長さにしてもらってた。でもイレギュラーなスーツでもしっかり合わせたヘルメットをかぶってくるあたりさすがチッポだよなーと。

 ペタッキ(ファッサボルトロ)はエースナンバーをつけての登場。本人は28秒遅れの59位とまぁまぁな仕上がりを見せたが、ちょっと気になったのがアシストのマルコ・ヴェーロの落車。ひじあたりに怪我をしていた。今後に影響しなければいいんだけれど。

 ちなみに同じ場所でマイケル・ロジャース(クイックステップ)も落車。トップから40秒差の121位に終わったけど、落車がなかったらいい線行ったんじゃなかろうか。

 さまざまなところで話題にされて、皆さんすでにご存知かと思いますが、一応記載しておきますです。
 ツールのプロローグの日、コフィディスのマシュー・ホワイトがウォームアップ中に落車(放送用のケーブルに後輪を引っ掛けて落車したらしい)。鎖骨を骨折して出走前に棄権する羽目に陥ってしまった。これがレース開始数時間前のこと。コフィディスは急遽地元ベルギー出身のピーテル・ファラゼインを呼び寄せ走らせることに。
 その時ファラゼインはというとプロローグの舞台となったリエージュから200kmほど離れたところで家族や友人とラリーを生観戦していたんだそうだ。しかもビールを飲みながら。Nacoさんとこの情報では、チーム関係者からの最初の電話は無視。2度目の電話でやっと出たファラゼインにチーム関係者は言う。「今すぐリエージュに来て走れ」と。慌てふためいたファラゼイン。警察の先導でリエージュまですっ飛ばし(って誰が運転してたんだろう?)、たどり着いたのはマシュー・ホワイト出走予定時間のわずか45分前。いきなり出走するわけにもいかず、チームメイトのジミー・カスペール(去年、首にコルセットを巻いて集団を引いてた姿が印象深い)と順番を入れ替え、ウォームアップをした挙げ句にマシュー・ホワイトのバイクで走った。結果はカンチェッラーラから1分1秒遅れの185位。下から数えて4人目だ。でも数時間前までビール飲んでくつろいでたことを考えれば上々の出来といわざるを得ない。
 ちなみにこのファラゼイン。現地のツール番組でストップウォッチを手にこのいきさつをコミカルに、でもちょっとシリアスに語っていたそうだ。しかし、テレビでそんな話をされちゃったりなんかした日には、ファラゼインより下の3人は苦笑いするしかないよなと思ってしまった。
 本人の気持ちはどうかというのが気になるところ。地元の新聞などでは、とりあえず出場したけどすぐにリタイヤするんじゃないかと書いたものもあったようだが、本人は「パリまで行きたい」と言っているようだ。で、これを追記しているのは第8ステージが終わった翌日、休息日の7月12日。第8ステージ終了時点でのファラゼインの成績は、マイヨジョーヌのヴォクラーから13分24秒遅れの73位。コフィディスの選手の中では総合2位のオグレディに続く2番目の成績となっている。やるなぁファラゼイン。
 とてもおまけの情報としては、ご本人「ジャパンカップでも走りたい」とゆっていたそうだ。

★ステージ優勝
ファビアン・カンチェッラーラ(ファッサボルトロ)
★個人総合(マイヨジョーヌ)
ファビアン・カンチェッラーラ(ファッサボルトロ)
★ポイント賞(マイヨヴェール)
ファビアン・カンチェッラーラ(ファッサボルトロ)
★山岳賞(マイヨブラン・アポアルージュ)
 −
★新人賞(マイヨブラン)
ファビアン・カンチェッラーラ(ファッサボルトロ)
★チーム総合
USポスタル
●ステージ順位
順位名前チームタイム
1ファビアン・カンチェッラーラファッサボルトロ6.50
2ランス・アームストロングUSポスタル0.02
3ホセイバン・グティエレスイリェスバレアレス0.08
4ブラッドリー・マクギーエフデジュ0.09
5トール・ハスホフトクレディアグリコル0.10
6オスカル・ペレイロフォナック
7イェンス・フォイクトCSC0.11
8クリストフ・モロークレディアグリコル0.12
9ボビー・ジュリックCSC
10ジョージ・ヒンカピーUSポスタル

 ちなみに、個人のステージ順位、11位以降が知りたい方は、Tour de France: The official websitewww.cyclingnews.com presents the 91th Tour de France, 2004CyclingWeb.jp:ツール・ド・フランス2004あたりをご覧になっていただければと思います。

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