2004 ツール・ド・フランス 第2ステージ

コースプロフィール:
 ツール・ド・フランス第2ステージはシャルルロワからナミュールまでの197km。ベルギーをスタートし、一度フランス領土(レースディレクターのジャンマリー・ルブラン氏の出身地らしい)に入った後、ベルギーに戻ってゴールというコース設定だ。山岳ポイントこそ7km地点と141.5km地点(いずれも4級)の2ヶ所だが、もう最初から最後まで細かなアップダウンの連続。特に後半がギザギザな感じで、一筋縄では行きそうもない。って第1ステージでも書いたような…。スプリントポイントは53km、128km、159km地点の3ヶ所だ。ゴール手前に90度カーブがある。落車などが起こらなければいいんだけれど。
 どうでもいいが、ゴール地点のナミュールはジビエ、鴨、マス料理が絶品、ビールも美味いらしい…。じゅるじゅる。

現地の天候:
 現地の天候は曇り時々晴れ。スタート地点は晴天で、地面にくっきり影が映っていた。それでも気温は18度ぐらいしかないらしい。走るには最適だろうが、個人的には酷暑希望(また言ってるよ(^^;)。

レースの展開:
 この日は前日落車して30分以上遅れてゴールしたロット・ドモのニック・ゲイツがタイムオーバーで未出走。今ツール最初のリタイヤとなった。ということで187人が出走。

 スタート後7kmで最初の山岳ポイントがあるこの日。最初の山岳ポイントは白地に赤水玉の山岳賞ジャージを身に着けたパオロ・ベッティーニ(クイックステップ)がトップで通過し、トンバック(コフィディス)、ジミー・カスペール(コフィディス)が後に続いた。
 そしてこの数キロ後にヤコブ・ピール(CSC)、セバスティアン・ラング(ゲロルシュタイナー)、ジェローム・ピノー(ブリオシュ)、クリストフ・エダレーヌ(コフィディス)、マーク・スキャンロン(AG2R)、クリストフ・マンジャン(エフデジュ)の6人の逃げが決まった。6人は順調にリードを広げ、48km地点でのタイム差は5分となった。しかし、後方ではクレディアグリコル、クイックステップあたりが集団の速度を上げ、タイム差はこれ以上広がらなかった。クレディアグリコルはハスホフト(現在4秒遅れの総合2位)にリーダージャージを取らせるための動き、そしてクイックステップは今ひとつ明確な理由がわからないけど、ベルギーのチームゆえ頑張っているのか。
 最初のスプリントポイントはエダレーヌ、スキャンロン、ピノーの順で通過。

 この日もパンク、落車が相次いだ。残り100kmぐらいの地点で先頭を引いていたクイックステップのクナーフェンがパンク。リバティセグロスのヴァンデヴェルデがメカトラ?でバイクを交換したかと思ったら、ステージ終盤にはエラスがメカトラ。リバティセグロスのアシストがわらわら下がってきて集団に復帰させていた。これ以外にもクック(エフデジュ)、バクステット(アレッシオ)、カーザグランダ(サエコ)らがパンクに見舞われた。小石とか砂とかが多いんだろうか?
 パンクもヤだけど、もっとヤなのが落車だ。先頭の6人が3つ目のスプリントポイントに差し掛かる頃、後続の集団で落車が発生。ドミナヴァカンツェのファニーニが左側の草むらに倒れ込み、その前方でもフォナックの選手、ブリオシュのベネトー、CSCのペロンが落車していた。他の選手はレースに戻ったが、ファニーニは左肩から落ちたようで、鎖骨を痛めて(骨折か)リタイヤ。この日のスタート地点では、ジャーナリストの土肥志穂さんをナンパ?してみたり、「イノキ!イノキ!」と大騒ぎしていた(土肥志穂さんblog情報)というファニーニ。チッポリーニの牽引役がいなくなっちゃったって点でもとても痛い。もちろん本人が一番痛いだろうけど。

 この頃には逃げの6人と集団との差は2分を切っていた。でもって3つ目のスプリントポイントは、ピノー、ピール、スキャンロンの順で通過したんだけども、そーいや128km地点の第2スプリントポイントと141.5km地点の第2山岳ポイントの通過順位に触れていなかった。第2スプリントポイントはエダレーヌ、ピール、ピノー、第2山岳ポイントはピノー、ピール、マンジャンの順で通過。
 背後の集団はクイックステップに加え、ファッサ、ロット・ドモあたりが前に出てきた。USポスタル、フォナック、エウスカルテルといった総合上位を狙う選手を抱えるチームも上がってきて、集団のペースが上がり、前との差が一気に詰まってきた。
 そして残り22〜23kmといったところで6人が集団に吸収された。と思ったら、またも落車発生。今度は道の右側で、また草むらに落ちてる選手が2人(コフィディスのベシーとロット・ドモ)、クイックステップのクナーフェンは自転車にまたがり、もう1台を手で支えて途方に暮れてるふうだった。ニュートラルのバイクにでも乗り換え(フレームの色が違ったし)、もともと乗ってたのをどうしたものかと途方に暮れてるのかと思ったら、もう1台はデカトロン。このカラーリングはコフィディスのか。ってことは、一緒に落車したベシーが自転車置いてすっ飛んでいっちゃったんだろうか? レースに復帰せにゃいかんしってことで、クナーフェンは自転車が倒れるにまかせ、自分はレースに戻っていった。倒れた自転車はクレディアグリコルあたりのチームカーにホイールあたりを踏まれてた。もったいないって。いらないなら、くれ。フレームがデカくて乗れないだろうが。と、どうでもいい話はさておいて。映像にはなかったが、この落車にクレディアグリコルのハスホフトも含まれていたらしい。クレディアグリコルのアシストが何人も戻って懸命に引き上げていた。

 もう一度1つになった集団の先頭はUSポスタル、リバティセグロスあたり。横風区間で集団が分裂するのを懸念してのことか。妙にペースを上げているように見える。そんな中、アレッシオ・ビアンキのバルダートがアタック。単独で逃げるもまもなく吸収。かと思えば今度はベッティーニがペースを上げる。ベッティーニは上り区間がくるたびに積極的にかけてくる。が、これも決まらず。
 集団の先頭にファッサボルトロが上がって来た。前日キルシプーにしてやられたペタッキを勝たせるべく、ファッサのトレインが形成される。マイヨジョーヌを着たカンチェッラーラも先頭でペースを上げる。もちろん自分のためではなく、ペタッキを勝たせるため。カンチェッラーラ引きまくり。そりゃ速いよね。TTのスペシャリストだし。
 ファッサのトレインの左側にはゲロルシュタイナー。ダニロ・ホンドがいい位置にいる。集団5〜6番手にハスホフトの姿もある。
 そしてラストの左カーブ。ハスホフトが先頭で入ったが、右側から一人抜け出したのがロビー・マキュアン。背後でハスホフト、ナゾン、ホンドらがもがくも、マキュアンの足にはかなわず。そのままぶっちぎりでステージ優勝を果たした。ハスホフトは2位。ボーナスポイントを稼ぎ、4秒差をひっくり返してマイヨジョーヌを手に入れた。ノルウェー人がマイヨジョーヌを着るのはこれが初めて。とても誇らしげな笑顔を見せてくれた。マイヨヴェールも引き続きハスホフト。
 …はいいんだが、ラストの左カーブを立ち上がったあたりで、集団の比較的前目のあたりで落車が発生。落車したのはクルトアスル・アルヴェセン(CSC)とジミー・カスペール(コフィディス)。どうもクイックステップのボーネンあたりがメカトラで失速。それをよける動きからアルヴェセンがキルシプーあたりと接触して落車。カスペールはそれに引っかかって落車したらしい。カスペールは2人分の自転車もろとももんどり打って倒れていた。集団の割合前の方の落車ではあったけど、とりあえず大落車にならなくてよかった。

 それにしても、マキュアンって人はホントに混戦に強い。今回のツールは調子がいいようで、今後のポイント賞争いも楽しみだ。ちなみにマキュアンは個人総合でも3位まで上がって来た。
 実はこの日、かつてロット・ドモに所属し、心臓病で引退、そして今月1日に亡くなったスティーブ・ブルモートが埋葬される日だった(まだ28歳だったのにね しんみり)。そしてゴール後のインタビューでマキュアンはスティーブ・ブルモートにこの勝利を捧げるとコメントしていた。そういう意味で、マキュアンの勝利、よかったなぁと心から思えた私ではあった。クイズは外れたけどね(旦那:ホンド狙いでゲロルシュタイナー、私:ジャンパトリック・ナゾン狙いでAG2R)。

 いやしかし、お尻が痛々しいジミー・カスペール

★ステージ優勝
ロビー・マキュアン(ロット・ドモ)
★個人総合(マイヨジョーヌ)
トール・ハスホフト(クレディアグリコル)
★ポイント賞(マイヨヴェール)
トール・ハスホフト(クレディアグリコル)
★山岳賞(マイヨブラン・アポアルージュ)
パオロ・ベッティーニ(クイックステップ)
★新人賞(マイヨブラン)
ファビアン・カンチェッラーラ(ファッサボルトロ)
★チーム総合
USポスタル
★敢闘賞
ヤコブ・ピール(チームCSC)
●ステージ順位
順位名前チームタイム
1ロビー・マキュアンロット・ドモ4.18.39
2トール・ハスホフトクレディアグリコル
3ジャンパトリック・ナゾンAG2R
4ダニロ・ホンドゲロルシュタイナー
5スチュアート・オグレディコフィディス
6ヤン・キルシプーAG2R
7エリック・ツァベルT-Mobile
8アレッサンドロ・ペタッキファッサボルトロ
9ゲーリット・グロムザーサエコ
10マリオ・チッポリーニドミナヴァカンツェ
spacer
●個人総合
順位名前チームタイム
1トール・ハスホフトクレディアグリコル9.05.42
2ファビアン・カンチェッラーラファッサボルトロ0.08
3ロビー・マキュアンロット・ドモ0.17
4ランス・アームストロングUSポスタル0.18
5イェンス・フォイクトCSC0.23
6ホセイバン・グティエレスイリェスバレアレス0.24
7オスカル・ペレイロフォナック0.27
8クリストフ・モロークレディアグリコル0.28
9ボビー・ジュリックCSC
10ジョージ・ヒンカピーUSポスタル

Back