コースプロフィール:
ツール・ド・フランス第7ステージはシャトーブリアン(うまそう、とつい思ってしまうが、肉のシャトーブリアンとはあまり関係ないんだろうか?)からサン・ブリウの204.5km。4級(113.5km地点)、3級(149km地点)の山岳ポイントがあるが、比較的ゆるやかなコースプロフィールだ。ゴールちょい手前に上りがあるが、ラストは長いストレートとなっている。スプリントポイントは52.5km地点、71.5km地点、129.5km地点の3ヶ所。
現地の天候:
国際映像が届いた時には天気は上々、地面にくっきりと影が映っていた。が、ゴールに向かって進むにつれて雲が多くなり、一時期強い雨が降った。しかも横風が強い区間で。気温は相変わらず低めで20度前後。
レースの展開:
第6ステージゴール手前で落車したレネ・ハーゼルバッハー(ゲロルシュタイナー)は鼻骨と肋骨3本を骨折して未出走。また、クリストフ・ブラント(ロット・ドモ)は第2ステージ終了後のドーピングチェックでメタドンの陽性反応が出たため、チームが出走を認めずこのステージ未出走となった。第7ステージ出走は177人。
この日も序盤から積極的なアタックがあったが、なかなか決定的なものとはならなかった。
スタート後7kmの地点でマイケル・ロジャース(クイックステップ)、ホセビセンテ・ガルシアアコスタ(イリェスバレアレス)、ジミー・カスペール(コフィディス)、アンドレア・ペロン(CSC)、ジェローム・ピノー(ブリオシュ)の5人が逃げを図ったが、これは決まらず。
17km地点でローラン・ブロシャール(AG2R)がアタック。スコット・サンダーランド(アレッシオ・ビアンキ)、イニゴ・ランダルセ(エウスカルテル)、クルトアスル・アルヴェセン(CSC)、ホセエンリケ・グティエレス(フォナック)が後に続いたが、この逃げも長くは続かなかった。
24km地点でファビアン・カンチェッラーラ(ファッサ)、ファビオ・バルダート(アレッシオ)、ピエリック・フェドリゴ(クレディアグリコル)、フレデリック・ゲドン(エフデジュ)、そしてさっきも逃げに乗っていたガルシアアコスタの5人がアタックしたが、これまた決まらず。
とにかくやたらと高速かつアグレッシブなレース展開で、平均時速は50km以上、それでもなかなか逃げは決まらなかった。このあおりを食らったのが前日の落車に巻き込まれた選手達。サエコのシモーニはモチベーションも下がりまくっていて、チームカー、オフィシャルカーのところまで下がり、レースをやめたいと申し出たそうな。27kmもの距離を車と並走しながら説得が続けられ、シモーニはなんとか集団に戻ったとのこと。んー一度下がったモチベーションを上げるのは難しいかもしれないけど、なんとか続けて去年みたいにステージ優勝を目指してほしいな。
43km地点でホセエンリケ・グティエレス(フォナック)、ファンミゲル・メルカド(クイックステップ)、そして三度目の正直になるかガルシアアコスタの3人がアタック。しかし数秒のリードに留まり、USポスタル、ブリオシュ、コフィディスの列車に引き戻された。
最初のスプリントポイント(52.5km地点)まであと5kmという地点で、先ほどアタックしてつぶされたカンチェッラーラがアタック。数キロ後にカルステン・クローン(ラボバンク)、マッシモ・ジュンティ(ドミナヴァカンツェ)が追いつき、スプリントポイントはクローン、ジュンティ、カンチェッラーラの順で通過した。
このまま逃げが決まるのかと思ったら、スプリントポイントを1kmほど過ぎたところで集団につかまった。しかし、エリック・デッケル(ラボバンク)、ティエリー・マリシャル(ロット・ドモ)がカウンターアタック。このアタックは功を奏した。
2つ目のスプリントポイントはマリシャル、デッケルの順で通過。集団の先頭はマキュアンが取った。前日の落車の影響が心配されたが、オグレディ、ハスホフトより体のキレはいいよう。ちなみに第6ステージ終了時点での獲得ポイントは、オグレディ115ポイント、マキュアン113ポイントだったので、この時点で並んだことになる。
2人は順調にリードを伸ばし、90km過ぎの地点で2人のリードは6分45秒にまで広がっていた。
97.5km地点にある補給所手前でフレデリック・ゲドン(エフデジュ)が集団からアタック。何事かと思ったら、このあたりはゲドンの地元なんだそうだ。道の両脇から暖かい拍手が沸き起こる。人がめっちゃ多いのは、みんな地元の人たちなのかな。路面にも「Guesdon」「Guesdon」といっぱい書いてある。そして道の右側にすーっと寄り、家族のもとへ。娘さんと奥さんにキスをして、奥さんに抱かれた赤ちゃんのほっぺたをうりうり。友人達と挨拶を交わし、ゆっくりとスタートして集団に合流した。いいよねー。こういうの。緊迫感漂うツールの中でも心和むヒトコマではあった。ちなみにゲドンは集団に戻りがてら、ブリオシュの選手と会話を交わし、左の方を指差していた。そっちの方に家があるのかな。
集団が補給地点を通過。この頃には先頭の2人と集団の差は8分半にまで広がっていた。
補給地点といえば、この間友達との会話で話題に上ったのがコフィディスのサコッシュの可愛さだ。赤地に黄色で私のノーテンキ日記の絵みたいな(どーでもよすぎるリンクだ(^^;)黄色い太陽が入ってるサコッシュ。オンラインショップでもジャージはあってもあれは売ってない。欲しいなぁ、あれ。
113.5km地点にある4級の山岳ポイントは、デッケル、マリシャルの順で通過。面白かったのは集団でのポイント争い。3位通過の山岳ポイントは、4級なのでたったの1ポイントだったんだけども、それを狙って集団から飛び出したヴィランク(クイックステップ)の後ろにぴったりつけていたのがブリオシュのピノー。そして山岳ポイント手前ではヴィランクと真剣に張り合い、ヴィランクを差してポイントをゲットした。意図が読めずにちょっと???になってしまった一瞬だった。山岳賞取りに行くつもりなんだろうか?
3つ目のスプリントポイントは、マリシャル、デッケルの順で通過した。スプリントポイントはマリシャル、山岳ポイントはデッケルというふうに取り決めがあるのかもしれない。マリシャルが取りに行くのはチームメイトのマキュアンのため?
残る2ポイントを取らせるためにスプリンターを擁するチームが集団の前の方に出てきた。と思ったら、落車発生。スヴェン・モンゴメリー(ゲロルシュタイナー)、クリストフ・リネロ(R.A.G.T.)らが巻き込まれた。モンゴメリーはなかなか起き上がれず、助けられながらレースに復帰したものの、ふるふると首を振り、左手で「ダメだ、ダメだ、走れない」というようなしぐさをしてバイクから降りた。たまたま止まっていた黄色いジープ?に顔を伏せ、悔しそうな痛そうな様子。モンゴメリーは右の鎖骨を骨折鎖骨を骨折し、リタイヤを余儀なくされた(…去年のタイラー・ハミルトンのおかげで「余儀なくされた…のか?」とつい自問自答してしまう(^^;)。
その頃大集団はスプリントポイントに差し掛かっていた。集団の先頭はコフィディスだらけ。アシスト4名に5番手がオグレディ。マキュアンも単独ですぐその背後につけている。最後の発射台の右側からオグレディ、左側からはマキュアンが速度を上げる。マキュアンのスピードに、オグレディは諦め、マキュアンが2ポイントをゲットした。この時点ではマキュアンがバーチャルマイヨヴェールとなった。
先頭の2人が3級の山岳ポイントに到達した。今回もデッケル、マリシャルの順で通過。カメラのレンズに水滴がついている。雨が降ってきたらしい。あまり大降りにならなければいいんだけど…。
他方の集団はというと、先頭の2人から約5分遅れで山岳ポイントに差しかかろうとしていた。ベッティーニが前に上がって来た。ヴィランクもすぐ後ろに。と思ったらピノーがアタック。ベッティーニは後を追ったが、ヴィランクは諦めてしまった。ベッティーニまでがポイントを獲得。せめてベッティーニより先行して1ポイントでも取ればよかったのに。
残り65kmぐらい、海岸沿いの横風がとても強い区間で、集団を小さくしようとする動きか、CSCが集団の先頭に上がってきてむりくり引き始めた。ペースが一気に上がり、集団が2つに分かれてしまった。総合優勝を狙う選手達、マイヨジョーヌのヴォクラーらは前の集団にいたが、ナゾン、オグレディ、モローらが遅れ、AG2R、クレディアグリコルあたりが懸命にペースを上げていた。
雨はさらに強く降り続いている。先頭の2人と後続のグループマイヨジョーヌとの差が1分55秒まで詰まってきた。そして、グループマイヨジョーヌと千切れてしまった集団との差は約25秒。2人とグループマイヨジョーヌの差は徐々に詰まり、グループマイヨジョーヌとグループマイヨヴェールの差は徐々に広がる傾向にある。
残り30kmを切ったあたりでマリシャル、デッケルが集団に吸収された。集団の先頭はCSC一色だ。
雨がやんで日が差してきた。グループマイヨジョーヌからピール(CSC)がアタック。ピールは今ツール、ステージ優勝こそまだないが、毎日積極的に逃げている。これに反応したのがサエコのペトロフ。そしてイリェスバレアレスのガルシアアコスタとファッサのカンチェッラーラが追いつき、TTが強い選手4人で逃げ続けた。
遅れていた集団は前の集団に追いついた。前の4人は協力して逃げ続け、一時は30秒ほどまでリードを広げた。しかし、クイックステップ、T-Mobile、ゲロルシュタイナーあたりがペースを上げ、残り10kmぐらいの地点で吸収。大集団に戻った。
と思ったらここからまた逃げがあった。残り8kmを切ったあたりでイリェスバレアレスのプラデラがアタック。背後からファッサのフレチャあたりがついていく。一度吸収されそうになりながらプラデラがもう一度盛り返す。プラデラが吸収される際、もう一度行ったのがフレチャ。逃げる者、追う者で集団先頭が一列にうねっていた時、背後からアタックしたのがエウスカルテルのダビド・エチェバリア。フレチャが追うが、T-Mobile、USポスタルの選手もすぐ背後についていた。
観客が道の両脇から迫り、狭くなったところに中央分離帯が。多くの選手が右に行く中、エチェバリアは左に。ちょっとロスした形で集団に戻ったところで、集団の先頭ではイリェスバレアレスのプラデラが再度アタック。背後につき従ったのはT-Mobileのケスラーあたりか。
残り7kmを切ったあたりで集団の先頭でアタックしたのがエウスカルテルのフロレス。ベッティーニ(クイックステップ)、ブロシャール(AG2R)、マンセボ(イリェスバレアレス)、イノー(クレディアグリコル)、スカルポーニ(ドミナ)、ポッツァート(ファッサ)が後を追い、集団に対してちょっと差を開けた。後ろの集団はあまり組織化されていない感じ。
残り2km。ブロシャールがアタック。ベッティーニ先頭に追いかける。いったん追いつき、7人が1つの集団になった。と思ったら今度はフロレスがカウンターアタック。これについていかれたのはポッツァート、マンセボだけだった。
残り1kmのアーチの手前でマンセボがアタック。しかし背後にはポッツァートがしっかりついている。フロレスも追いついた。
マンセボ先行。ポッツァートは付き位置。残り200mでポッツァートがやすやすとマンセボをぶち抜いた。フロレスが反応するが追いつけず。ポッツァートがゴールスプリントを制し、ステージ優勝を果たした。
両手を高々と挙げたゴールシーンをスローで見ると、右の前腕にカタカナで「キアラ」の文字が入っているのがはっきり見える。J SPORTSの中継に元ファッサのメカニコ永井さんがゲストで来た時、ポッツァートの右手には彼女の名前が入っているって言ってたっけ。「なんて書いてあるかは映った時の楽しみに」というような発言をしていたが、これはステージ優勝するだろうから楽しみにという意味だったのかもと、ついうがった見方をしてしまう。ともあれ、ポッツァートは1981年生まれ、今ツールで最年少の22歳。ロンゲのイケメン(うわ、ヤな表現(^^;)で日本でも人気が出そう。見た目だけでなく、実力も太鼓判。ジュニアからいきなりプロになった天才肌の選手なんだそうだ。
集団はというと3人から10秒遅れてのゴール。先頭には逃げに加わっていたブロシャール、イノーなんていう面々が入っているが、大集団もタイム差なしでゴールしている。ということで、マンセボは10秒+3位のボーナスタイム8秒の合計18秒を得て、個人総合成績を18位に上げた。アームストロングとの差は43秒となり、ウルリッヒより上位となった。
途中のスプリントポイントではマキュアンがポイントを重ねバーチャルのマイヨヴェールとなっていたが、ゴールでの順位がオグレディ10位、マキュアン13位とオグレディが先に入っているため、ボーナスポイントの関係でオグレディがマイヨヴェールを守った。とはいえ2人のポイント差は1ポイント。今後の争いも盛り上がるだろう。
マイヨジョーヌ、マイヨアポアは変動なし。
オマケの小ネタを2つ。
第6ステージはマイヨジョーヌの下にフランスチャンピオンのトリコロールカラーのバイクパンツを履いていたヴォクラー。この日は黄色いバイクパンツを履いて走った。でもって翌日の第8ステージはヘルメットも黄色。走る側も一生懸命なら、準備する側も一生懸命なのねとちょっと微笑ましく思ってしまった私でした。
小ネタその2は「トーチュウ やっちゃった」。7月11日付の東京中日スポーツのツールの記事を見たら(ここ数年、グランツールの時期は東京中日スポーツを購読している。去年からは6〜9月のみ定期購読。ちなみに今年はジロ、ツール、ブエルタの全ステージカラー記事だ)、第7ステージのステージ優勝者の名前を「マッテオ・トザット」と掲載。見出しも「トザット ゴール勝負制す」だ。もちろん昨日勝ったのは同じファッサでもトザットではなくポッツァート。一瞬自分が間違ってるのかと思ってcyclingnewsあたりを確認してしまった。Webページなら間違いに気づいたら訂正できるけど、活字になっちゃったらしょうがない。翌日お詫びと訂正が載ってました。
●ステージ順位 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●個人総合 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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