コースプロフィール:
休息日前の第8ステージは、ランバルからカンペールまでの168km。山岳ポイントは51km地点(3級)、54.5km地点(4級)、127.5km(4級)、142.5km(4級)の4ヶ所。距離は短いし、本格的な山岳が登場するわけでもないんだが、最初から最後までアップダウンの連続で、意外に難儀そうなコースプロフィールだ。ゴール前2kmが上り。ラスト200mにロータリーと90度カーブがある。スプリントポイントは14km地点、104km地点、131km地点の3ヶ所。
まったくレースとは無関係だが、ブルターニュというとそば粉のクレープが有名。土肥志穂さんのblogを見て無性に食べたくなった。ポルタのカフェ・ド・ロペでも行くかな。…ってホントに関係ない。
現地の天候:
この日も雨模様。曇り時々雨の予想通り、スタート地点では曇りだったが、そのうち雨が降り始め、途中バケツをひっくり返したような雨が降っていたところもあった。ゴール地点は小雨って感じだったかな。
気温は15〜17度。やっぱり低い。同じヨーロッパでもギリシャあたりでは連日40度の猛暑らしい。去年のフランス猛暑、日本冷夏を見ても、やっぱり昨今の気候は異常だ。困難を乗り越えて勝つのが真の勝者かもしれないけど、それでもやっぱり雨はイヤ。早く太陽が戻ってきますように。
レースの展開:
J SPORTSの中継で毎日出題されているクイズ。この日のクイズは「今日のマイヨヴェールは誰?」というものだった。それもそのはず、上位はかなり僅差で、日々熾烈な争いが繰り広げられている。この日、マイヨヴェールはオグレディが着ていたが、2位のマキュアンとの差はわずか1ポイント。3位のホンドで8ポイント、4位のツァベルでも9ポイントという僅差となっている。スプリントポイントの通過順位ひとつ、ゴールでの順位ひとつで容易にひっくり返る差だ。とりあえずトップから30ポイント以内のナゾンまでの成績をまとめておくならば
順位 | 名前 | チーム | ポイント |
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1 | スチュアート・オグレディ | コフィディス | 131pt |
2 | ロビー・マキュアン | ロット・ドモ | 130pt |
3 | ダニロ・ホンド | ゲロルシュタイナー | 123pt |
4 | エリック・ツァベル | T-Mobile | 122pt |
5 | トール・ハスホフト | クレディアグリコル | 106pt |
6 | ジャンパトリック・ナゾン | AG2R | 101pt |
といった感じ。といったことを踏まえてレースへGo!
この日はスタート後14kmの地点に最初のスプリントポイントが登場する。スタート後、クリストフ・モロー(クレディアグリコル)がいきなりアタック。集団に対してちょっと差をつけた。イェンス・フォイクト(CSC)、ギョーム・オージェ(R.A.G.T.)がちょっと離れて後を追うも、スプリントポイント手前の逃げが容認されるわけもなく。スプリントポイントまで残り7kmといったあたりで集団に吸収された。
スプリントポイントまで残り3kmの地点でイェンス・フォイクトが再度アタック。しかしこの逃げも長くは続かなかった。スプリントポイント手前でハスホフト、マキュアンにかわされ、ハスホフト、マキュアン、フォイクトの順で通過した。この時点でマキュアンがバーチャルポイント賞リーダーとなった。
スタート後20kmほどの地点でマッテーオ・トザット(ファッサボルトロ)、ヤコブ・ピール(CSC)、ロニー・ショルツ(ゲロルシュタイナー)、カルステン・クローン(ラボバンク)がアタック。クリストフ・モロー(クレディアグリコル)、ローラン・ブロシャール(AG2R)が後を追ったが、モローが脱落、しばらくしてブロシャールも集団に戻った。
4人は協力して逃げたが、27〜28kmの地点でクローンがパンクで遅れ、逃げのグループは3人となった。パンクといえば、この逃げが決まった頃にエラスもパンクし、集団から遅れていた。落車も多いがパンクも多い。
その後、スタート直後にモローを追ってアタックしたギョーム・オージェがもう一度アタックしたが、この逃げも長くは続かなかった。
3人は徐々にリードを広げていった。最初の山岳ポイント(51km地点)はショルツ、トザット、ピールの順で通過。3級の山岳なので、集団の先頭で通過した選手にもポイントが与えられる(1ポイントだが)。集団の先頭にヴィランクとベッティーニが上がって来た。前日ヴィランクが取りに行ったのにピノー(ブリオシュ)にかわされ1ポイントも取れなかったということがあった。この日はどうかというと、ベッティーニが先にかけ、ヴィランクが後から追う。あれ? ピノーは来ない。ヴィランクも振り返って後ろを見てる。ベッティーニがずんずん先に行ってしまったためにヴィランクが慌てて後を追い、ギリギリでベッティーニの前に出て1ポイントをゲットした。前日のピノーはなんだったんだ?
と、そんな頃、集団から千切れているのはキルシプー(AG2R)。いや、最後まで完走したことがないとはいえ、ステージ優勝も果たして満足してるとはいえ、ここで遅れるのはちょっと早いだろう。そのうちニコラ・ポルタルが降りてきて励ましながら上り始めた。
最初の山岳ポイントを過ぎたら、3.5km後にすぐまた山岳ポイントがやってくる。ショルツがいい感じで上っている。そしてショルツ、トザット、ピールの順で通過した。この山岳ポイントは4級なので、先頭3人にしかポイントは与えられない。背後の集団には関係ないってことね。
そしてこの頃には3人と集団のタイム差は4分半ほどに広がっていた。タイム差はこの後もうちょっと広がり、しばらくの間6分弱の差をキープした。
で、このあまり動きのなかった時間帯にJ SPORTSの放送で話題になっていたことはというと、アナグマのことではあった。集団がベルナール・イノー氏が住んでいる町を通過した第7ステージ(って前日だ)放送前に、菊田さんが栗村監督に聞いたそうだ。「アナグマ」って怖いの?」と(※「アナグマ」はベルナール・イノー氏のニックネームだった)。これに対して栗村監督は「きっと穴の中に潜んでいる大きな熊で、通りかかったら穴に引き込まれて食われちゃうんでしょう」と答えたそう。放送中にそんな話になり、Saschaさんがネットでアナグマを調べたら、アナグマって「穴を掘る熊のような動物」なんだそうで、体長50cmしかないんだって。しかもとっても可愛い(こんなのとかこんなのとか)。イタチ科の動物なんだって。可愛いぞ。あ、レースとは一切関係ない話ですね(笑)。
どうもミケーレ・バルトリ(CSC)が股ずれらしい…。
バクステット(アレッシオ)はパンクで後輪交換。しかし、ホントに大きい人だ。車輪が小さく見えてしまう。
この頃から雨が降り始めてきた。
集団の先頭はブリオシュ・ラブランジェール。というのは、日々積極的に逃げているピールだが、ふと考えたらヴォクラーが大逃げしてマイヨジョーヌを手に入れた第5ステージで一緒に逃げていたのであった。ということは総合も上位。第7ステージ終了時点でヴォクラーと6分58秒差の5位につけていた。あんまりタイム差を広げて逃げ切られても困っちゃうわけです。
追い上げの成果もあってちょっとずつ差が縮まってきた。でも先頭付近にドミナヴァカンツェが何名かいるのはなぜ? J SPORTSの放送では、ドミナには1980年生まれのマリナンジェリというスプリントの強い選手がいて、その選手に勝たせたいがために引いているのだろうと解説していた。
2つ目のスプリントポイントは、特に争いもせずピール、トザット、ショルツの順で通過。雨が強くなってきた。
先ほどもパンクのトラブルがあったが、雨も降ってきてますます多発するようになってきた。エウスカルテルのマルティネスがパンクで遅れた。
と思ったらますますもって大変な雨に。下からの跳ね上げもあって、大変なことになっている。
残り46kmの地点で2分50秒まで詰まってきた。雨は相変わらず強く降っている。気温も低いのだろう。ショルツがチームカーから油紙を受け取って、広げてお腹に入れていた。かさばらないし、グッドかもしれない。
3番目の山岳ポイント(4級)は争わずショルツ、トザット、ピールの順で通過。上りはやっぱりショルツが強いらしい。
集団の先頭に、クイックステップ、クレディアグリコル、T-Mobileあたりも上がって来た。
道端でバンバン発炎筒を焚いて応援している人がいた。サッカーの試合ならともかく(サッカーに発炎筒は付き物だと思う。いや別にフーリガンじゃないが)自転車のレースで煙もくもく出すのはやめてもらいたい。目いっぱい心肺機能を酷使してる人達が通るところなんだから。
131km地点にある最後のスプリントポイントも3人で通過した。先頭トザット、ピール、ショルツの順。そして、肝心のスプリント賞争いの方は、ゴールでのポイント勝負ということになった。
リシャール・ヴィランクが前輪パンクで交換。でもって集団に復帰したと思ったら、今度は後輪がパンク。ついてない。
そして最後の山岳ポイント(4級)はピール、ショルツ、トザットの順で通過。しばらく3分弱のタイム差をキープしていた3人だったが、残り25kmの地点で残り1分57秒と、ここに来て一気に詰まってきた。
背後の集団の先頭はクレディアグリコルとクイックステップ。猛烈に引いている。ローラン・デュフォー、クリストフ・モローといった錚々たるメンバーが集団のペースを上げている。そりゃ速いはずだ。
残り15kmの時点でタイム差は1分。逃げ切るのは難しそう。
直線では逃げの3人が集団の視界に入るようになってきた。
残り10kmのアーチを過ぎたあたりで3人が集団に吸収された。ホンドがショルツをポンと叩き、ねぎらうような仕草をした。そしてまた集団がひとつになった。
と思ったら落車発生。集団後方の落車のようで、7〜8名が巻き込まれた。リバティセグロス、オグレディ、ゲロルシュタイナー、ドミナヴァカンツェあたりの選手が巻き込まれた模様。AG2Rのデュムランはなかなか立ち上がれない。肘を抱えるような仕草をして、チームの関係者に支えられ、なんとか立ち上がった。
この落車の原因は、なんと犬が飛び出したことらしい。デュムランは何とかレースに復帰したものの、左腕が痛いようでゆっくりとしたペースでしか進めない。ゴール前それほど距離がないのが救いだ。
残り3km。クリストフ・モローが舌を出して引きまくっている(なんで舌出しちゃうんだろう? 舌で温度調節でもできるんだろうか?(^^;)。集団は一直線。
残り2km。ここからは上りとなる。とイリェスバレアレスの選手がアタック。ホセイバン・グティエレスだ。クイックステップのザニーニがしっかり後を追った。
ここでコフィディスのトンバックが落車。トンバックはオグレディの最後の列車。オグレディにとってちょっと痛い。
そして次に動いたのがベッティーニ(!)。トム・ボーネンが引いてたらしいんだけども、それはこのためだったのね。そしてこれに反応したのがマキュアン(!!)。2人でちょっと飛び出した形となったが、ベッティーニは後ろを確認し、ついてきたのがマキュアンなのを確認して引くのをやめてしまった。確かにスプリント勝負になったらベッティーニに勝機はないもんね。マキュアンがベッティーニに何事か話しかけ、ベッティーニが首を振っていたのが印象的。2人ともちょっと苦笑って感じ。背後にはエウスカルテル2名。ベッティーニとマキュアンは集団に吸収。
続いてファッサのキルシェンがアタック。いったんは差があき、このまま決まりかと思われたが、ハスホフト、ツァベル、マキュアンらが猛烈に追い上げる。キルシェン伸びず、ハスホフトが差し切ってステージ優勝を果たした。ゴール前、ノルウェーチャンピオンジャージの胸のあたりを叩き、誇らしげに両手を挙げるだけの余裕があった。逃げたキルシェンは2位フィニッシュ。以下ツァベル、マキュアンと続いた。CyclingWeb.jpの第8ステージレポートにファッサボルトロのマッサーの中野さんとの会話が載っていた。中野さん曰く「強いんですけれど、スプリントがないし、飛びぬけているものがないからツールで勝つのは難しいかもしれないですね」。少なくともこのステージに関してはそのコメント通りの結果になってしまった。
で、肝心のポイント賞争いはというと、ゴールスプリントでマキュアンが4位に入り、ゴールポイントを24ポイントを稼いだ。他方、2位のオグレディは8位フィニッシュで18ポイント。マキュアンがオグレディに9ポイントの差をつけてポイント賞リーダーとなった。
マイヨジョーヌとマイヨブランはヴォクラー、マイヨアポアはベッティーニのままで変動はなかった。
ヴォクラーは表彰台にも慣れてきて余裕が見られるようになってきた。表彰台の屋根から雨漏りしていたようで、落ちてきた水滴を口に入れるようなおちゃらけた姿も見られた。何でだろう。面食い系のつるりんだけども、人気爆発のカンチェッラーラ、ポッツァートという男前な選手にはさほど興味がなく、いっそ困った顔したお子ちゃま風のヴォクラーが妙に気になる。楽しそうにふんふん♪って表情で踏んでるのも可愛いし、ちょっと萌えな昨今。
それにしても毎日毎日逃げまくっているピール先輩っていったい何者なんだろう? J SPORTSのサイトに転載されているデイリープロトンの記事に「この狂ったデンマーク人は審判のバイクよりも前を走っている時間が長い」とあってちょっと笑った。ちなみにピールは今年のツールでの逃げ記録のダントツ1位。なんとすでに540kmも逃げている。2位のフォイクト(も非常に積極的に動いてるように見えるんだが)が281kmっていうからその逃げ記録のすごさが伺えるだろう。いや、ピール先輩すげーっす。ステージ優勝してほしいなぁ。
●ステージ順位 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●個人総合 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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