2004 ツール・ド・フランス 第10ステージ

コースプロフィール:
 ツール・ド・フランス第10ステージはリモージュからサン・フルーまでの237km。いよいよ本格山岳に突入だ。しかも今年のツールで一番長いステージとなっている。
 まずしょっぱ32.5km地点にスプリントポイントがある。7km後の39.5km地点に4級、67km地点と79km地点に3級、106.5km地点のスプリントポイントを挟んで、114.5km地点と126.5km地点に3級の山岳ポイントがある。
 で、ここからが厳しい山岳となる。162km地点に2級(距離8.3km/平均斜度3.5%)、ちょっと下ってすぐ上り173.5km地点に1級(距離5.5km/平均斜度8%)の山岳ポイント。189km地点に3級、205.5km地点に2級(距離8.2km/平均斜度6%)と来て、以降は下り基調でゴールに向かう。ただしラストはちょこっと上ってゴールだ。
 9つもの上りがある第10ステージだが、総合を狙う選手にとって、厳しい上りはあるもののラスト30kmほどは下り基調のこのコース、終盤の山岳でアタックしても逃げ切るのは困難かもしれない。
 ちなみにこの日はフランス革命記念日だった。

現地の天候:
 来た来たやっと来た。ツールらしい快晴が。ただし、気温はそれほど上がらず、山に入るとちょっと涼しいほどだった、らしい。

レースの展開:
 この日も序盤から積極的なアタックがあった。いきなり動いたのがパトリス・アルガン(クレディアグリコル)。しかし何人もの選手が反応して結局1つの集団のままだった。以降もいくつもアタックがあったが、決まらぬままに25km地点にやってきた。
 スプリントポイントが迫るこの地点で、ホンド(T-Mobile)がアタック。何人かが追ったが、スプリントポイントはホンドがそのままトップ通過。以下、トンバック(コフィディス)、フォイクト(CSC)の順で通過した。
 この先頭のグループの中からリシャール・ヴィランク(クイックステップ)とアクセル・メルクス(ロット・ドモ)の2名が抜け出した。この2名に背後からシルヴァン・シャバネル(ブリオシュ)が加わり3名となった。ただし、シャバネルはマイヨジョーヌを抱えたブリオシュ・ラブランジェールの選手。これは逃げ切りを狙うものではなく、ヴォクラーのマイヨジョーヌを守るための動きだろう。それにしても、エースナンバーをつけ、ついこの間までは自分の陰に隠れて目立たなかった同い年のヴォクラーのマイヨジョーヌを守るための働きをするのはちょっと複雑な気持ちなんじゃないだろうか。献身的にチームのために働くシャバネルの好感度アップだ。…私の気持ちはどうでもいいんだが(^^;。
 最初の山岳ポイントは、ヴィランク、メルクス、シャバネルの順で通過。
 この頃、集団の背後ではサエコの選手が苦しんでいる。前日も苦しんでいたチェレスティーノ、それからコンメッソが遅れている。まだ序盤なのに苦しそう。
 この山岳ポイントを過ぎた後で、シャバネルが脱落。先頭はヴィランクとメルクスの2名になった。シャバネルが集団に戻る際、カウンターアタックが。クレディアグリコルのセバスティアン・ジョリとラボバンクのカルステン・クローンの2名だった。  …って終わらん(^^;。
 ともあれ、ヴィランクとメルクスの2人で逃げていたものの、2級の山岳でメルクスが遅れ、山頂でヴィランクが一瞬待つような様子を見せたが、そのまま単独で逃げ続けた。メルクスはやがて集団に吸収。
 結局ヴィランクが単独で逃げ切ってステージ優勝を果たした。いつもの片手の人差し指を上げるポーズではなく、両手の人差し指を上げ、天を仰ぐようにしてゴールした。実はヴィランク、つい2日前にフェスティナチームのマネージャーだったジョエル・シャビヨン、そして先月お祖母さんを亡くしたそう。お祖母さんが亡くなった時、ドーフィネリベレに出場していて葬儀に参列できなかったヴィランク。ゴール後のインタビューに答え、ヴィランクは「この勝利は2人に捧げたい」とコメントしている。子供のように泣きじゃくっていた姿がとても印象的だった。
 で、ヴィランクから5分19秒遅れでゴールした集団の先頭はクレーデン。山岳もしっかり越えてきたツァベルがすぐ背後にいたので、ツァベルのアシストかと思ったら、ツァベルに先に行かせるわけでもなくそのままゴール。すぐ背後にマンセボがいてかわされる可能性もあったというのはあるにせよ、なんだかそのあたりがT-Mobileはどうも今ひとつ。そのあたりを考えるとやっぱUSポスタルは素晴らしいチームだなぁと敵ながら思ってしまう。

★ ステージ優勝
リシャール・ヴィランク(クイックステップ)
★ 個人総合(マイヨジョーヌ)
トマ・ヴォクラー(ブリオシュ・ラブランジェール)
★ ポイント賞(マイヨヴェール)
ロビー・マキュアン(ロット・ドモ)
★ 山岳賞(マイヨブラン・アポアルージュ)
リシャール・ヴィランク(クイックステップ)
★ 新人賞(マイヨブラン)
トマ・ヴォクラー(ブリオシュ・ラブランジェール)
★ チーム総合
チームCSC
★ 敢闘賞
リシャール・ヴィランク(クイックステップ)
●ステージ順位
順位名前チームタイム
1リシャール・ヴィランククイックステップ6.00.24
2アンドレアス・クレーデンT-Mobile5.19
3エリック・ツァベルT-Mobile
4フランシスコ・マンセボイリェスバレアレス
5トマ・ヴォクラーブリオシュ・ラブランジェール
6ランス・アームストロングUSポスタル
7ゲオルグ・トーチュニヒゲロルシュタイナー
8キム・キルシェンファッサボルトロ
9ミケーレ・スカルポーニドミナヴァカンツェ
10ピエトロ・カウッキョーリアレッシオ・ビアンキ
spacer
●個人総合
順位名前チームタイム
1トマ・ヴォクラーブリオシュ・ラブランジェール42.42.14
2スチュアート・オグレディコフィディス3.00
3サンディ・カザルエフデジュ4.13
4リシャール・ヴィランククイックステップ6.52
5ヤコブ・ピールCSC7.31
6ランス・アームストロングUSポスタル9.35
7エリック・ツァベルT-Mobile9.58
8ホセ・アゼベドUSポスタル10.04
9ホセエンリケ・グティエレスフォナック10.09
10フランシスコ・マンセボイリェスバレアレス10.18

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