コースプロフィール:
ツール・ド・フランス第14ステージは、カルカッソンヌからニームまでの192.5km。ピレネーとアルプスへの移行ステージともいうべきフラットなステージだ。しかも翌日は休息日。平坦が得意な選手達の積極的なアタックが見られそう。逃げが決まり逃げ切る選手が出てくるのか、それとも集団ゴールスプリントとなるのか。
山岳ポイントは皆無。53km地点と166.5km地点にスプリントポイントがある。
現地の天候:
朝は雨が降っていたらしいが、スタート時の天候は快晴。湿度が高くて風が強いらしい。
レースの展開:
序盤からアタック合戦の様相だった。しかもマイヨジョーヌを着たヴォクラーまで逃げていた。なんとも果敢に動く選手だ。しかし、ちょっと差がついても集団につぶされ、なかなか逃げが決まらない。
最初のスプリントポイントは、その時逃げていたフレチャ(ファッサ)、サントス・ゴンザレス(フォナック)、エダレーヌ(コフィディス)、ロバン(エフデジュ)の4人の中からサントス・ゴンザレス、ロバン、フレチャの順で通過した。が、この逃げは決定的なものとはならなかった。
一応触れておくならば、68km地点でヴォクラーまで逃げを図ったが、もちろん逃がしてもらえるはずもなかった。
80kmほどのところでダクルズ(エフデジュ)、オグレディ(コフィディス)、コンメッソ(サエコ)、メルクス(ロット・ドモ)、アルダーク(T-Mobile)、トザット(ファッサ)、ジュリアン・ディーン(クレディアグリコル)、ソレンセン(CSC)、ガルシアアコスタ(イリェスバレアレス)、フルスカ(リバティセグロス)、デッケル(ラボバンク)、オージェ(R.A.G.T.)の12人の逃げが決まった。このまま決まるかと思われたが、逃げに選手を乗せていなかったクイックステップ、逃げにアクセル・メルクスがいるもののマキュアンのためにオグレディを逃がしたくないロット・ドモあたりが速度を上げ、20秒ほどの差を保ったまま走り続けた。
95kmほどの地点で集団との差が詰まり、何人かが諦めて集団に戻った。残ったのはダクルズ、オージェ、メルクス、オグレディ、ソレンセンの5人。集団からナルデッロ(T-Mobile)らがアタックし、パラパラと追いついて14〜15人のグループに。が、大集団もすぐ背後に迫っていて、この逃げも長くは続きそうもなかった。
これを嫌って飛び出したのがフォナックのニコラ・ジャラベール。ここに10人が追いついて、ジャラベール(フォナック)、ボテーロ(T-Mobile)、イゴール・ゴンザレスデガルデアノ(リバティセグロス)、ランダルセとマルティネス(エウスカルテル)、アイトール・ゴンザレス(ファッサボルトロ)、フェドリゴ(クレディアグリコル)、ブロリッヒ(ゲロルシュタイナー)、ロッツ(ラボバンク)、マンジャン(エフデジュ)の10人の逃げとなった。
この逃げの中で個人総合の順位が一番いいのが37分39秒遅れのマルティネス。ブリオシュにしてもUSポスタルにしても、10分、20分差がついてしまっても大勢に影響ない。ということで、大集団のペースは落ち着き、1分、3分、5分とあっという間にタイム差が広がっていった。
残り45kmほどの地点で10人と集団とのタイム差は10分40秒。逃げ切りはほぼ確定的となった。あとは誰がどのタイミングでアタックするかだ。エウスカルテルのみ2名いるのも注目どころか。
ジャラベールがパンクで遅れたが、逃げのグループのペースもまださほど上がっていなかったため、時間を置かずに合流することができた。
2つ目のスプリントポイントは、特に争う様子もなくブロリッヒ、マンジャン、フェドリゴの順で通過。この頃にはタイム差も13分ほどにまで広がっていた。
残り15km。逃げのグループのペースがちょっと上がった。
そして残り10kmのバナーをくぐり、残り9kmといったところでまず動いたのがイゴール・ゴンザレスデガルデアノ。エウスカルテルのマルティネスが追った。残りの選手も追いついた。そして、イゴールが吸収される瞬間、アイトール・ゴンザレスがカウンターアタック。残りの9人は一瞬牽制してしまった。スプリント勝負に持ち込みたいマンジャンが追ったが、他の選手は前に出ない。背後で牽制している間に、一番逃がしてはいけない選手がリードを伸ばした。アイトールは2年前のブエルタでのTTで見せたような、上体がまったく動かない美しいフォームで逃げ続ける。
残り5kmのバナーをくぐる。イゴール・ゴンザレスデガルデアノ、フェドリゴがアタックするが、他の7人に追いつかれる。残りの距離が短くなる。マンジャンがアタック、ジャラベールが後を追った。しかし、アイトールは単独のままゴール間際に迫っていた。
そしてゴール手前、アイトール・ゴンザレスが、襟元を正すのかと思ったらネックレスを引っぱり出して、チェーンに通した多分指輪にキスをして、右手を上げてゴールした。久々の嬉しそうな笑顔。2002年のブエルタ以来、アイトールにはあまりいい印象を抱いていなかったんだけども、鳴り物入りでファッサに移籍してから思ったような結果を残せずにいたアイトール。久々に見る笑顔に、私まで安堵の気持ちを覚えた。ペタッキを失いつつも3勝目を果たしたファッサボルトロ。中野さんも嬉しかっただろうなぁと。
以下、ニコラ・ジャラベール、マンジャン、フェドリゴ、ブロリッヒの順で入った。しかし、逃げに2人送り込んでおきながら、10人中の9位、10位となってしまったエウスカルテル。ちょっとあれこれ裏目でつらいよね。
と、逃げの10人でトップ10を独占。が、11位でもゴールポイントの15ポイントが手に入る。ということで、先頭から14分ほど遅れた集団の先頭争いは平坦ステージのゴールスプリントのような様相を呈している。クレディアグリコルのモローが先頭を引っぱる。ジュリアン・ディーンに続き3番手にハスホフト。ゲロルシュタイナーも2名ほど。コフィディスが上がって来た。が、完全に支配しているという感じではない。アングルヴァンの後ろにオグレディの姿も。T-Mobileのアシストに発射され、早々とツァベルが先行。が、ちょっと距離が長すぎた。背後にはマキュアン、ハスホフト、ホンド、オグレディが。ツァベル伸びず。マキュアン、ハスホフト、ホンドの3人が横並びでゴールした。写真判定の結果はマキュアン、ハスホフト、ホンドの順でゴール。オグレディが続き、ツァベルは集団の中では5番手ゴールとなった。
総合上位は集団ゴールのためタイム差はつかず。ヴォクラーはマイヨジョーヌを守りきった。
ちなみにファッサのマッサー中野さんの日記にアイトール・ゴンザレスがステージ優勝を果たした時のことが記載されている。この日はスタートからゴールまでめまぐるしい展開だったため、途中、用を足す余裕もなかったそう。ゴール後にまずアイトールがしたことといえばトイレに行くこと。おかげでドーピングコントロールの際に尿サンプルが足りず、2時間ほどもかかったとのこと。総合優勝争いからは脱落してしまったが、アルプスでも狙うと自ら宣言したアイトール。果たしてどんな戦いを見せてくれるんだろうか。
●ステージ順位 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●個人総合 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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