ツール・ド・ランカウイ 第10ステージ

 毎日楽しませてもらったツール・ド・ランカウイも最終ステージがやってきてしまいました。
 第10ステージは、クワラルンプールの街中でのクリテリウム。6.7km×12周のレースとなっている。変形した星かヒトデのようなコースで、鋭角なコーナーがいくつもある。
 今日の気温は30〜34度、湿度は50〜60%。相変わらずあづい。

 スタート前に各賞リーダーがポディウムに乗って紹介されてた。ポイントリーダーのゴードン・フレイザーは、昨日の落車の影響か、左腕にアームウォーマー、左足にニーウォーマーのようなものをつけていた。
 で、このゴードン・フレイザー。ポイント賞リーダーはほぼ確定、無事ゴールしさえすればまたこのポディウムに戻ってこられる寸法。ただし、ステージ優勝がないために狙っているのは確実だ。フレイザー、クワランタ、パリアリーニらのゴールスプリントが見られることだろう。ちなみに去年のポイント賞リーダーのグレム・ブラウン(チェラミケ・パナリア)は今日出走していないとのこと。アキレス腱の炎症とかなんとかいう話。

 さてスタート。グランツールなどでは、最終ステージはパレード的な雰囲気で始まる場合が多々あるが、そういう感じでもなく、集団はしょっぱなからいいペースで入った。
 ランプレのコルティノヴィスがさりげなーくアタック。フォルマッジ、ウィズミラク、リラックス、カナダあたりの選手が反応。何人か千切れ、コルティノヴィス、スリヴァン(バルロワールド)、エクトル・グエラ(リラックス)の3人が残った。なかなかいい感じの面子。
 集団から今日もまた福島がアタック。集団はショコラード・ジャック、セッレイタリアあたりがコントロールしている。それほどスピードは上がっていない様子だったが、福島の逃げは決まらず、そのまま集団に吸収された。

 このクリテリウム。3周目、6周目、9周目の終わりにスプリントポイントが設定されていた。
 最初のスプリントポイントでは、逃げの3人は特に争う様子もなく、コルティノヴィス、スリヴァン、グエラの順であっさり通過。
 3人と集団の差はじわじわと広がっている。この3人の中で、総合の順位が一番いいのは昨日遅れて順位を落としたグエラの9位。でも9分50秒遅れているため、総合にはあまり関係ない。集団は無理に追わずに泳がせておく可能性も。
 そんなこんなの集団からカナダのピーター・ウェッジが飛び出した。これに反応したのがアイルランドのDavid O'Loughlin。
 しばらく2人で逃げるも、アイルランドの選手が千切れ、ウェッジも2つ目のスプリントポイントを過ぎたあたりで吸収された。
 ちなみにこのスプリントポイント、先頭3人はこれまた争わずにグエラ、スリヴァン、コルティノヴィスの順で通過している。

 集団の先頭にフォルマッジ・ピンツォーロの選手達が出てきた。集団をコントロールするのは、逃げの3人を泳がせたいショコラード・ジャックとセッレイタリア、捕まえたいフォルマッジという様相を呈してきた。
 逃げの3人と集団の差は40秒。このままゴール直前まで逃げてしまうのか?と思っていたら、なんとスリヴァンが後輪パンク。思わず後輪をたたきつけたスリヴァン。すぐ後ろにチームカーがいればよかったんだけども、オフィシャルの車しかいなかったため、交換に時間がかかり、レースに復帰直後に集団に吸収された。

 集団の先頭はフォルマッジ。先頭の2人とは33秒差とちょっと詰まった。
 とその時、集団から白いジャージの選手がアタック。またも福島だ。と思ったら単独じゃなかった。田代、飯島の2人があとに続く(これ見た瞬間、鳥肌が立った)。そして、カナダのウェッジとウォルバーグ(個人TTで優勝した人)も加わり、5人での逃げとなった。
 が、この逃げは集団が容認しなかった。集団がスピードを上げ、逃げの集団は吸収された。…と思いきやカナダのウォルバーグだけは吸収されずに残っていた。その後、再び集団から逃げを打った福島がウォルバーグに合流。2人で協力して先頭の2人を追った。

 福島とウォルバーグはいいペースで追い上げ、あっという間に前の2人に追いついた。が、集団もすぐ背後に迫っていた。
 これまで足を使ってきたコルティノヴィス、グエラは引かないんだか引けないんだか。

 (ちょっとこのあたり、興奮しててメモがわけわからん(^^;。)

 集団からリラックスのJohan Van Summerenがアタック。南アフリカ、アイルランド、ヘルスネットのグリーンジャージな方々がこれに反応。前の4人に追いついて8人になるも、あえなく吸収…多分。多分?(^^;
 この後、パラパラとアタックしてはつぶされる繰り返しだった。そして再び集団は1つになった。
 ラスト1周のジャンが鳴った後、総合5位につけるバルロワールドのデヴィッド・ジョージがパンクのトラブルに見舞われた。総合5位から8位までは20秒以内にひしめき合っているため、ここで遅れると順位が変わる可能性がある。
 遅れたデヴィッド・ジョージをさっきまで逃げていたスリヴァンが待っていた。チームカーの隊列も利用してなんとか集団の後方までは追いついた。が、集団の後ろの方にいると、ゴール時に中切れを起こしている可能性があり、もっと位置を上げておく必要がある。果たしてどこまで上がれるのか…。

 集団の先頭はショコラード・ジャック、ランプレ、フォルマッジ、ヘルスネットあたり。ゴードン・フレイザー、パリアリーニ、クワランタあたりがいい位置に。
 チェラミケのランキャスターとボンジョルノが上がってきた。ランキャスターがいいペースでボンジョルノを引き上げた。
 ラストのスプリント勝負。まず先行したのはクワランタ。が、左側からボンジョルノが抜き去り、クワランタは失速。ヘルスネットのヘンダーソン、ランプレのカッラーラが追い上げるが、ボンジョルノが逃げ切り、両手を高々と上げてゴールした。
 ボンジョルノは去年のツール・ド・ランカウイ最終ステージでもステージ優勝を飾った選手。2年連続クワラルンプールの表彰台に立つことになった。
 不運だったのは先ほどパンクに見舞われたデヴィッド・ジョージ。集団が中切れしてしまい、先頭の集団とは20秒の差がついてしまった。おかげで個人総合はホワイト、マリン、ペレスに抜かれ8位という結果に相成った。

 というわけで各賞の表彰が行なわれた。
 アジアのチーム総合はイラン。日本は11分7秒差の2位。
 チーム総合はチームバルロワールド。昨日追い上げたコロンビア・セッレイタリアは43秒差の2位に終わった。  アジアンベストライダー賞はイランのミズバニ。同じくイランのカゼミ、ウィズミラクのスサントに続き、田代は4位という結果に終わった。
 山岳賞は、コロンビア・セッレイタリアのルベル・マリン。ホントに細くていかにも山岳スペシャリストという感じ。
 ポイント賞はゴードン・フレイザー。結局ステージ優勝は果たせなかったけど、賢くポイントを重ねたという感じか。
 そして個人総合はフレディ・ゴンザレス。いや、この人の上りの強さは半端じゃない。ジロでもまた活躍する姿が見られるのかな。
 ちなみに日本ナショナルチームの選手の最終成績は、田代選手30位(アジア4位)、福島選手48位(アジア10位)、阿部選手63位(アジア14位)、飯島選手71位(アジア17位)、真鍋選手110位(アジア27位)という結果になった。ステージ優勝もアジア総合も取れはしなかったけど、特に後半、果敢なアタックで見てるわれわれをわくわくさせてくれた。こういうのってリザルトだけ見たのでは伝わってこないこと。生で見られてよかったよ。ありがとう、J SPORTS。これからもよろしく。

●ステージ順位
順位名前チームタイム
1Ruben Guillermo BongiornoCeramiche Panaria-Margres1.38.06
2Gregory HendersonHealth Net presented by Maxxisspacer
3Matteo CarraraLamprespacer
4Ivan QuarantaFormaggi Pinzolo Fiavespacer
5Marlon PerezColombia Selle-Italiaspacer
6Hassan MalekiIranspacer
7Eugene MoriartyIrelandspacer
8Enrico GrigoliDe Nardispacer
9Daryl ImpeySouth Africaspacer
10Gert VanderaerdenMr Bookmaker-Palmans-Collstropspacer
●個人総合
順位名前チームタイム
1Freddy GonzalezColombia Selle-Italia28.52.52
2Ryan CoxTeam Barloworld0.48
3Dave BruylandtsChocolade Jacques-Wincor1.54
4Tiaan KannemeyerTeam Barloworld1.55
5Nicholas WhiteSouth Africa2.12
6Ruber MarinColombia Selle-Italia2.22
7Marlon PerezColombia Selle-Italia2.30
8David GeorgeTeam Barloworld2.31
9Kurt Van De WouwerMr Bookmaker-Palmans-Collstrop4.06
10Roland GreenCanadaspacer

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