2004 ツール・ド・フランス 第13ステージ

コースプロフィール:
 ピレネー2日目はラヌムザンからプラトー・ド・ベイユの202.5km。序盤こそ緩やかだが、3級(42.5km地点)、2級(64km地点 距離14.3km/平均斜度4.2%/最大斜度11.7%)、1級(99.5km地点 距離17.5km/平均斜度5.1%/最大斜度8%)、2級(131km地点 距離18km/平均斜度3.3%)、1級(146km地点 距離10.6km/平均斜度8.1%/最大斜度10.6%)、3級(155km地点)と山岳がぽこぽこと続き、ラストは超級ゴール(距離18.5km/平均斜度6.4%/最大斜度12%)となっている。スプリントポイントは74km地点と182.5km地点の2ヶ所。…はいいが、ラスト超級前の谷底にスプリントポイントってのはどうなのよ?
 ちなみに2つ目の山岳ポイントに至る上りの途中に、1995年に下りで落車して亡くなったファビオ・カザルデッリ(当時モトローラの選手でランス・アームストロングのチームメイトだった)を悼む石碑が建っている。
 そしてゴール地点のベイユ高原がツールのゴール地点に設定されたのは1998年、2002年に続き3回目。1998年はパンターニ、2002年はアームストロングがステージ優勝し、そしていずれもその年のツールで個人総合優勝を果たしている。今年このステージを制するのはどの選手だろうか? そしてマイヨジョーヌの行方は?

現地の天候:
 晴れのち曇り、山岳地帯では雷の可能性もありという予報だったが、幸いにも雷の予報は外れた。終盤雲が多くなっては来たが、ステージ全般を通しておおむね晴れ。気温もずいぶん上がり、平地で30度近く、山地でも20度前後はあったんじゃないだろうか。

レースの展開:
 取り急ぎ速報だけね。
 序盤から多くの逃げがあったが、決まったのはラスムセン(ラボバンク)、フォイクト(CSC)、シャバネル(ブリオシュ)の3人の逃げだった。途中の山岳でシャバネルが脱落。2名で最後の上りまで逃げ続けた。この上りで3級からの下りで主要集団もかなり絞られてきた。ヴィランク、セビリャ、モロー(パンクしてボチャロフと車輪を交換。ちょっと手間取り遅れを取った)、ヴォクラー、サストレ、メルクス、シモーニと、一人、また一人と脱落していく。しかしやっぱり磐石USポスタル。この時点でもルビエラ、アゼベドの2人が残っていて、バンバン集団を引いていた。そしてウルリッヒが遅れ始めた。
 逃げていた2人は、まずはフォイクトが苦しくなり、ラスムセンが置いて行った。やがてフォイクトが吸収、しばらくしてラスムセンも吸収された。
 USポスタルはまだアシストが引いている段階だというのに、クレーデン、マンセボ、しばらく頑張っていたトーチュニヒも遅れ始めた。そして、USポスタルはルビエラ脱落。残ったのはアゼベド、アームストロング、バッソの3人だけだった。
 この時点ではアゼベド、アームストロング、バッソの3人、トーチュニヒ、クレーデン、マンセボの3人、1分近く遅れてウルリッヒという状況。
 そして最後のアシスト、アゼベドが下がり、昨日と同様、バッソとアームストロングの一騎打ちとなった。
 山頂近くになるとそりゃもうすごい人の数。そしてどこ見てもオレンジだ。エウスカルテルの選手が先頭でないのが残念に思うぐらい。そしてその群集を押しのけるようにして突き進むアームストロングとバッソ。残り1kmで牽制が入る。残り500mの看板を通過。アームストロングはファスナーを上げて準備をしている。しばらくバッソ先行でアームストロングは付き位置。このままバッソに勝たせるのかと思ったらアームストロングアタック。軽々かわしてステージ優勝を果たした。
 2人の後は、1分5秒遅れでトーチュニヒ、1分27秒遅れでクレーデンとマンセボ、そしてヤン・ウルリッヒは2分42秒も遅れてゴールした。
 こうなると気になるのがマイヨジョーヌのヴォクラーが何分遅れでゴールするか。かなり初期の山岳からキツそうだったヴォクラーだが、驚異的な頑張りで盛り返し、ラストの上りは主要集団に混ざって上り始めた。この上りでも遅れたものの、これまでのようにいかにもキツそう、もうギリギリという様子でもなく比較的いいペースで上りきった。そしてアームストロングから4分42秒遅れの13位でゴール。昨日までのタイム差は5分24秒だったのだが、アームストロングはゴールで20秒のボーナスタイムを稼ぎ、5分4秒差。ということで、ヴォクラーは22秒差でマイヨジョーヌを守りきった。ゴールでのホントに嬉しそうなガッツポーズ、それからしばらく遅れてゴールしたシャバネルの嬉しそうな笑顔とガッツポーズが印象的だった。
 で、この日も多くのリタイヤが出た。スベルディアがやめ、ヴェークマンがやめ、そしてタイラーハミルトンがやめた。遅れていたマヨも一度はバイクを降りたものの、チーム関係者に説得され、なんとかレースに復帰。チームメイトだけではなく、イリェスバレアレスのガルシア・アコスタやファッサボルトロのカンチェッラーラまでお尻を押して進ませていた。結局マヨはトップから37分40秒遅れの115位でゴール。なだめすかしてもなんとか続けていただき、もう一花咲かせてもらいたいところなんだけど。
 ちなみにオグレディもマヨと同じ集団。マキュアンは42分20秒遅れでゴールした。前日山岳でウルリッヒを引いていたツァベルは31分14秒遅れの集団の先頭でゴール。67位だった。

★ ステージ優勝
ランス・アームストロング(USポスタル)
★ 個人総合(マイヨジョーヌ)
トマ・ヴォクラー(ブリオシュ・ラブランジェール)
★ ポイント賞(マイヨヴェール)
ロビー・マキュアン(ロット・ドモ)
★ 山岳賞(マイヨブラン・アポアルージュ)
リシャール・ヴィランク(クイックステップ)
★ 新人賞(マイヨブラン)
トマ・ヴォクラー(ブリオシュ・ラブランジェール)
★ チーム総合
チームCSC
★ 敢闘賞
ミカエル・ラスムセン(ラボバンク)
●ステージ順位
順位名前チームタイム
1ランス・アームストロングUSポスタル6.04.38
2イヴァン・バッソチームCSC
3ゲオルグ・トーチュニヒゲロルシュタイナー1.05
4アンドレアス・クレーデンT-Mobile1.27
5フランシスコ・マンセボイリェスバレアレス
6ヤン・ウルリッヒT-Mobile2.42
7ホセ・アゼベドUSポスタル2.50
8クリストフ・モロークレディアグリコル2.51
9ピエトロ・カウッキョーリアレッシオ・ビアンキ1.02
10ジルベルト・シモーニサエコ3.43
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●個人総合
順位名前チームタイム
1トマ・ヴォクラーブリオシュ・ラブランジェール58.00.27
2ランス・アームストロングUSポスタル0.22
3イヴァン・バッソチームCSC1.39
4アンドレアス・クレーデンT-Mobile3.18
5フランシスコ・マンセボイリェスバレアレス3.28
6ゲオルグ・トーチュニヒゲロルシュタイナー6.08
7ホセ・アゼベドUSポスタル6.43
8ヤン・ウルリッヒT-Mobile7.01
9ピエトロ・カウッキョーリアレッシオ・ビアンキ7.59
10サンディ・カザルエフデジュ8.29

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