コースプロフィール:
ツール・ド・フランス第13ステージは、アルプスとピレネーの合い間の平坦ステージだ。全長173.5kmで、26.5kmに4級の山岳ポイントが設定されているが、後は細かなアップダウン程度。集団スプリントとなるか、それとも大逃げが決まるのか。とはいえマイヨヴェール(ポイント賞リーダージャージ)争いも熾烈を極めて来ている。スプリンターを抱えるチームとしても、そうそう簡単には大逃げを許しはしないだろう。スプリントポイントは22km地点と96km地点の2ヶ所だ。
現地の天候:
晴れ。30度を越える暑さだったらしい。序盤からこんなだったらと思ってしまうが…。
レースの展開:
まずリタイヤなどの情報から。マヌエル・ベルトラン(ディスカバリーチャンネル)、ロバート・ハンター(フォナック)、ニコラ・フリッチュ(サウニエルデュバル)、アンジェロ・フルラン(ドミナヴァカンツェ)の4名が第12ステージで途中リタイヤ。第13ステージは162名でのスタートとなった。
さてレース。放送開始時点では、すでにカルロス・ダクルズ(フランセーズデジュ)、フアンアントニオ・フレチャ(ファッサボルトロ)、トマ・ヴォクレール(ブイグテレコム)、クリストファー・ホーナー(サウニエルデュバル)、ルドヴィック・テュルパン(ag2r)の5名の逃げが決まっていた。集団とのタイム差は、残り110.5kmの時点で7分31秒。
アクチュアルスタート直後の2km地点でサウニエルデュバルのマヌエル・クインツァートとセバスティアン・ラング(ゲロルシュタイナー)がアタックしたが、これは決まらず。その後、15km地点でこの5名がアタックし、徐々に差を広げて放送開始時点の状況に至った。
後続集団の先頭はスプリンターのマキュアンを抱えるダヴィタモン−ロットと、監督に発破をかけられた(監督が「ここまでの成績には満足していない。今日は処罰の日だね」みたいなコメントを発表)ランプレ。ここから徐々にタイム差が詰まって行く。
最初のスプリントポイントは、ヴォクレール、ダクルズ、テュルパンの順で通過、そしてこの日唯一の山岳ポイントは、ホーナー、ダクルズ、テュルパンの順で通過した。
この日の大きなニュースとしては、個人総合5位で新人賞ジャージを着たアレハンドロ・バルベルデ(イリェスバレアレス)のリタイヤだ。胃腸の問題を抱えているとのことだったが、それ以上にチームTTで痛めた左ひざ(ハンドルにぶつけたらしい)の調子が悪かったそう。補給地点を過ぎたあたりでバイクを降り、ゼッケンをはがされた。チームカーの中で泣いている映像がとても印象的だった。やっと出場できたツールでリタイヤを余儀なくされてとてつもなく悔しかっただろうけど、まだまだ若いバルベルデ。また来年、もっと大きくなって我々の目の前に戻ってきてもらいたいと思う。
2つ目のスプリントポイントはフレチャ、ダクルズ、ホーナーの順で通過。この頃には、先頭5名のリードは4分強にまで縮まっていた。
余談だけども、逃げの5名の中にいる、クリストファー・ホーナー(どうでもいいが、ホーナーと聞くと「ヤクルト」「赤鬼」なんてな言葉が頭に浮かぶあたり、私もいい加減年寄りだと思う)は日本生まれのアメリカ人。先ごろ行なわれたツール・ド・スイスの山岳ステージでステージ優勝を飾ったのが記憶に新しい。
後続集団先頭はというと、相変わらずダヴィタモン−ロット。人数が増えて6名になっていた。
タイム差は残り50kmの地点で2分前後にまで詰まった。ここでしばらく停滞したものの、横風もあって5名よりは集団の方が有利だ。
大集団とのタイム差が30秒ほどに詰まった頃に、先頭5名からダクルズがアタック。が、これは決まらず。
他方、集団からはクイックステップのクナーフェン、ランプレのロースリらが相次いでアタックするも、いずれも決まらず。決まったのは残り15kmほどの地点でのシルヴァン・シャバネル(コフィディス)のアタックだった。
シャバネルは先頭5名に追いつき、そしてそのままパス。が、5名を引き離せず。先頭は6名の集団になった。後続も背後に見えている。
そしてここで動いたのがヴォクレール。しかしフレチャ反応。一度はまた6名に戻ったが、そこでシャバネルカウンターアタック。5名はフレチャ先頭で追うが、差が開き、ちょっとお見合い状態に。と、後ろからホーナーがアタック。ホーナーはシャバネルに追いついて、先頭2名での逃げとなった。
後続の集団からは、ランプレのサルバトーレ・コンメッソとドミナヴァカンツェのアンドレイ・グリヴコが抜け出した。コンメッソ、グリヴコは2番手グループに追いついたものの、その後全員まとめて後続集団に吸収。残り6kmほどの地点で、2名対大集団という形になった。この時点でのタイム差は25秒。
集団先頭にはリクイガス−ビアンキ、ゲロルシュタイナーあたり。とフランセーズデジューのジルベールがアタック。集団が活性化され、タイム差がちょっと詰まった。
後続集団の先頭がディスカバリーに変わった。残り4.5kmでのタイム差は16秒。15秒、13秒、12秒と徐々に詰まってくる。2名の背後に見えてきた。
そして先頭2名が残り1kmを切った。2名に続き、大集団もコーナーを曲がって来た。集団先頭はリクイガス。もうすぐ後ろに迫っている。飲み込まれる寸前で左コーナーを曲がり、最後のストレートを立ち上がった。
が、2名は残り200mで集団に吸収。変わって先頭に立ったのはダヴィタモン−ロットのフレッド・ロドリゲス。ロビー・マキュアンもすぐ背後についている。そして右側からマキュアンが加速。集団スプリントへとなだれ込んだ。
マキュアン加速。すぐ後ろにスチュアート・オグレディがついていたが、マキュアンが左側に目をやった時にちょっと右にブレたおかげで前には出られず、そのままマキュアンの勝利となった。オグレディが抗議するようなしぐさも見せていたが、今回は降格処分ということにはならなかった。
そして、マキュアンのための発射台となったフレッド・ロドリゲスが最後まで足を緩めず、3位に入ってポイントゲット。ヒュースホーウトの手に渡るポイントを削る手助けをした。
この結果を受け、ポイント賞争いの上位3名はヒュースホーウトが164ポイント、オグレディが150ポイント、マキュアン142ポイントとなり、まだまだわからなくなってきた。ちなみにスプリンターが狙えそうなステージは第17ステージ、シャンゼリゼゴールの第21ステージ。また、平坦ではないものの、中盤以降は細かなアップダウン程度の第19ステージも、集団に追いつきさえすれば狙えるステージといえるだろう。
オマケとしてcyclingnews.comで気になった写真をいくつかピックアップ。
◆http://www.cyclingnews.com/photos/2005/tour05/?id=tour0513/24
もぐもぐ。食べてるのはピザみたいなの?
◆http://www.cyclingnews.com/photos/2005/tour05/?id=tour0513/35
この日はスタート前のバルベルデの写真がやたらと多い。まさかこの後リタイヤすることになるとは…。
◆http://www.cyclingnews.com/photos/2005/tour05/?id=tour0513/48
みっつ。
◆http://www.cyclingnews.com/photos/2005/tour05/?id=tour0513/cycling-tdf2005-savoldel-30
とてもレース中とは思えないリラックスぶりだ。
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